第45話 淡島と静岡県道17号沼津土肥線
内浦三津を出発した綾。行きは日没寸前でシルエットな景色でどこをどう走ったかよくわからなかったが、明るいうちに走ると県道土肥沼津線、今でいう静岡県道17号沼津土肥線は旧道をひたすら走る感じで内浦三津の市街のど真ん中を走る。今は海岸線を気持ちよく走れる道路だが、このころは一つ陸側の道路が現道だったということだ。市街地を抜けると海岸線に出る。淡島が見えてきたがロープウェイも無ければあわしまマリンパークも無かった。淡島は元は無人島で、1940年に第二海軍技術廠の「音響兵器部 淡島臨海実験場」という軍事施設が設置されたが終戦に伴い撤去され、その後少数の漁民などが定住するようになったが、1963年に淡島海洋交園としてオープンしたのでこの時代にはまだないのだが、伊豆・三津シーパラダイスと比べると、歴史はかなり浅い。
淡島から口野交差点までは若干の旧道を通るにしても現道とあまり変わらない感じでここで昨日は海を横目にして走っていたんだなと理解する。暗くなると本当にどこを走ってるのかわからなくなるので今日は明るいうちに帰りたいものだ。
口野交差点を左に曲がると多比第二隧道が有るはずだが坑口の位置は同じだが妙に狭い。4号隧道と呼ばれる旧道で今も歩道として現役なので次に通るときに坑内をしっかり見渡すと途中で分かれたトンネルが有るのでぜひ気にしてほしいトンネルだ。ちなみに5号隧道は御場トンネルと呼ばれる口野交差点の旧道トンネルのことだ。
主要県道であるにもかかわらずとにかく狭い!狭い!オートバイだから対向車さえ来なければそれなりに快適だが、車ではかなり難儀する道路で、狭いトンネルを4つも抜けないと沼津にたどり着けないので今でいう国道158号線(松本~上高地付近までひたすらトンネル)みたいな感じである。ちょっと言い過ぎとは思うが。
3号隧道は現在も道路としては生存している。この道はまっすぐなトンネルで走りやすい。2号隧道が令和の今ぽつんと平地に残って今は津波マウントとして余生を送っているトンネルだ。現道だとまっすぐだが、3号から2号は急カーブで入るのでとても怖い。
最後の1号隧道は現在は封鎖されて全く利用されていないが坑口はまだ見て取れる。これらを現道として線を引いてみるとわかると思うがとにかくぐねぐねで走りづらいし進まない。冷静に多比~江浦間は想像以上に急峻な地形と言えよう。
江浦まで来ると現道に近い道を通ることになる。この辺りはもう漁港も整備されていて現在とさほど差は無い感じで市街地が近いので開発も整いつつあるようだ。
静浦までくると住宅が一気に増えた。ここからいわゆる沼津市街と言える地域に入ったことを景観でも理解させてくれる。あとはひたすら北上すれば沼津駅に着く。
「ひゃー、思った以上にスリルのある道路だったわ。」
平地になって安堵する綾だったが、ここからは地形と道路の罠よりも街中の罠に気を付けなければならない。
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