第30話 都電小松川線・砂町線

 一之江橋を越えるとようやく街らしくなったが、ビルというものはほとんどなく、地方都市の街外れくらいの雰囲気だが車も少ないので走りやすい。小松川橋を越えるといささかゴミゴミした感じになる。亀戸にはいると都電が走ってきた。都電小松川線だ。亀戸浅間通りから国道14号に合流する。浅間前より東側は国道14号から離れて供用軌道なのか専用軌道なのかよくわからない雑多な路面で最終的に西荒川という電停で終わるらしい。その先の亀戸クロック、ちょっと前まではサンストリートがあったあたりから都電砂町線の軌道が見えた。今は亀戸緑道となっている通りが軌道になって、錦糸町駅近くの国道14号線と四ツ目通りが交差する錦糸堀まで小松川・砂町線が走る。この系統は元は城東電気軌道線という都電ではなかった区間で、川向うは荒川・中川の小松川橋で切れて、東荒川から今井まで伸びていたらしい。今の錦糸町マルイのあたりは都電の車庫で黄色く輝いて待機していた。


 都電が走り人の往来も盛んになってきたようだが、朝早くから出発したので単に人の活動時間になったというのもある。黄色い路面電車は綾にとっては新鮮なものに映った。なにしろ、令和どころか平成も含めて都電で生き残っているのは都電荒川線のみで今やカラーリングはめちゃくちゃである。


 ちなみに今は東京さくらトラム。という愛称を押し付けようとしてピンと来る人がどれだけいるのかはわからないが都電が沢山走っていた頃は番号で呼ばれており、都電荒川線は27.32系統で亀戸を走る都電砂町線は29、38系統と呼ばれるが、錦糸町まで来ると28系統になる。

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