第33話 第一京浜と川崎市電とトロリーバス
第一京浜=国道15号線である。第一京浜を跨ぐ踏切は今はもうすべてなくなったがこのころはまだまだ踏切が多かった。京急蒲田から空港線の踏切にやってきた。ここは都会なのに単線なのだ。箱根駅伝でもここは一つの関門になっていて踏切が掛かると待つしかなくアドバンテージがここで奪われてしまうのだ。そんな踏切が結構最近の2012年まであったことを考えると不思議なものであるが綾が知っている時代ではなかったので綾にとっては驚きの光景ではあろう。ちなみに立会川-大森海岸間の踏切も1990年廃止なので平成に入ってからようやく立体交差したので渋滞が多い道路であったのは言わずもがな。である。
京急蒲田を過ぎると、一気に田舎感が増す。やがて六郷橋を越えていよいよ神奈川県に入る。
「あー、予想以上にごみごみした道路だったわ。東京を過ぎれば大分変わるかしら?」
綾の期待を外しながらも予想外のものが走っている。市電だ。川崎の街にも路面電車が走っていたのである。これは綾は調べきれなかったようで、ちょっと興奮してしまっていた。国鉄川崎駅から臨海方面に路線が伸びているようで、第一京浜を併用軌道として走ってるとは思わなかった。そしてもっとびっくりしたのがバス。一見普通のようでよく見るとトロリーバスだ。トロリーバスとは、トロリー(集電装置)を供えた電気で走るバスで無軌道の電車みたいなもので、今でいうEVなので今こそトロリーバスの方が環境にはいい気はするが復調することはない交通機関だろう。今でこそ黒部アルペンルートなど専用線で走ってるだけだが、目の前を走っている。予想だにしないものが川崎にはあった。ごみごみしたところから早く脱出したい。と思ったが、こんなレアなものを見ることができるとは予想してなかったのですっかりそんなことは忘れてしまってひたすら見入るのだった。
「こんなものが川崎に!帰ったらいろいろ調べてみよう。CB72を借りてよかった。」
第一京浜はその後横浜まで至るのだが、左側は工業地帯らしく、煙がもうもうとしていた。国道駅の高架を電車が走っている。茶色かった。これも後で調べた話だが17m車体を持つ戦前形国電と呼ばれたクモハ12系という電車だったらしい。走ルンです元祖とかチョコ電とか言われたりとかシーラカンスのごとく1996年まで走っていたというちょっと特殊なものが神奈川県は多すぎないか?と綾の頭の中でぐるぐるすることになるが、この時はCB72日和だ!と次なる感動を横浜にも期待するのだった。
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