第7話 コンビニのコーヒーサーバ
セブンイレブンに入った。コーヒーサーバーは無かった。
「多分ここは昭和。そりゃないわよねー。」
見回すと、心なしかオリジナル商品は全くなく、小規模スーパーの品揃えと似たようなラインナップ。小腹が空いたのでコーヒーよりもレタスサンドイッチの方がお目当てなのでそれは問題なかった。
会計はもうわかってるので現金で支払う。どういうわけか平成以降に刷新されたお札ではなく、夏目漱石と新渡戸稲造が財布に入っていたのでドキドキしながらもそこは安心した。
駐車場の隅に座ってサンドイッチを頬張る。コンビニから流れてくる曲は「恋したっていいじゃない/渡辺美里」。この頃きっと流行った曲なんだろう。これも帰宅してから鼻歌検索で調べた。
帰りはもう夕闇に包まれてしまったので令和と昭和の違いをいちいち見比べるなんてこともせずに一目散に帰宅した。
帰宅して、愛車のVTZ250のエンジンを切り、カバーをして自宅アパートの鍵を開ける。
帰宅して気づいたのは自宅の中は令和そのもののままだった。
早速、見てきたものをインターネットで調べてみて今日見たものは昭和63年と言うことを綾は理解した。
「これって、今また外に出たら昭和63年なのかな??」
綾は玄関を開けて徒歩で近所をうろついてみる。国道14号線は10番台国道なのに昭和そのもののような対面2車線なので道路の様子を見ても昭和か令和か区別がつかないが、近所のセブンイレブンに行ってみたら、コーヒーサーバが置いてあった。おもむろにホットコーヒーSを注文し、電子マネーで決済して駐車場の隅に座りながら今日の不思議な出来事を思い返しながら夜空を見つめるのだった。
「今日は夜も快晴なのね。星が降ってきそうなくらいよく見えるわ。」
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