第6話 武蔵五日市経由で帰宅する

 風張峠を越えて下り基調になる奥多摩有料道路。北側の奥多摩町は比較的中速コーナーが多いが、南側の檜原村はタイトなコーナーが多い。この区間を往復する走り屋はミニバイクが多めのようだ。相変わらずオートバイは多い。奥多摩のこの辺りはほとんどが植林された山なので杉林一辺倒だ。上を向けば五月晴れの青空、前を向けば杉林、横を向けば時折山並みを拝むこともできるが、走行中はカストロールのオイルの焼けた匂いと2ストロークの甲高いエンジン音だけがこだまする。こういう光景はいつまで続いていたのだろうか。と綾は考えながら下ると、休憩中に何か食べようと寄ろうと思った檜原都民の森もやっぱり存在してなかった。帰宅後に調べてみたらオープンは1990年だったらしい。


 料金所のゲートを越えて、ストレートでもない、下ってるがさほど急な下りでもないダウンヒルを車列に追従しながら30kmほどで武蔵五日市駅に到着する。

 「やー、田舎に来ると昭和と令和は思ったほど差が無いけど、施設が無いのは不便ね~。昔の人は行ったら休憩するという感覚が無かったのかしら(笑)」


 武蔵五日市に着くとオレンジ色の電車が見えた。完全にオレンジ一色でどことなく古びた電車だった。これも後に調べてみたら103系と言う電車だったらしい。


 ゆっくり走っていたせいもあるが出発は正直昼前だった、時間が思った以上に掛かっていたので日没までもう間近だったし何より石川パーキングエリアで食べたグーテンバーガーだけだったのでセブンイレブンに立ち寄ることにした。

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