第28話 下調べ
CB72を借りた綾。VTZ250とは4ストローク2気筒250ccクラス。というカテゴリだけで見れば同じであるが、なにせ生まれた時代が違いすぎる。VTZ250は1987年くらい、CB72は1960年くらいだ。令和5年の今から27年前というと1996年だ。NSR250の最終発売年まで遡れる。と考えれば87年と60年のテクノロジーの差は想像も付かないくらいだ。
まっすぐ家には戻らずに少し慣らすためにも遠回りをする。湾岸地域は夜になれば空いていて走りやすい。せっかくだから東京ゲートブリッジ経由で臨海副都心あたりを走る。夜景はとてもきれいだがこの景色もついぞ前には存在しなくて人も住んでなかった荒野だったのが人の営みの光の波に海が侵食されたようにも見えた。
特に問題もなく走れるようだ。あとは明日、もしかしたらまたVTZ250のようにCB72が走り始めた頃に行き着くのではないか?と予測して下調べを始める綾。
1960年から2年後の1962年について調べ始めていた。
この時代は高度成長期で日本が伸びていた時代で東京オリンピックのためなら東京をどんな手段でも改造する。という根性と気合のような時代だ。わかりやすい構築物としては首都高速である。都心環状線の東側、北の丸公園、江戸橋JCTから浜崎橋JTCと東京高速八重洲線がまさにそれで、基本的には堀の水を抜いて道路にしたり、川の上を道路にしたり、堀を埋めて道路にするなど、用地買収の手間を省くために行われた事業であるが近年では昔の日本橋の景色を取り戻したいなど、当時は見向きもされなかった景観問題も残したり、名ばかりの高速道路で信じられない曲線道路で地方から来た人を驚かせたり、ルーレット族を作ったりする副産物も生み出したが、ある意味今の東京を象った。とも言える構築物である。
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