第7話 サバイバル生活 2
闇魔法では魔獣と契約することで任意に召喚することが出来る。魔獣の強さに応じて必要な階位も上がっていくが、ファング・ボアなら第二位階の闇魔法が使えれば契約できる。契約数には限度があり、下級魔獣で10体、中級で5体、上級で3体、超級で1体契約できる。
契約には
「我は契約を求める者なり。贄を受け取り
ファング・ボアの心臓を取り出し地面に置いて詠唱を行うと、黒い
「よし、さっそく果物や木の実、キノコを探してくれ!」
ファング・ボア自体の戦闘力は僕から見れば大した事は無い。ただ、主食としている食べ物を探す能力に長けているので、果物などを探すときには重宝する。サバイバルを行うにあたって肉以外の色々な食材も食べなければ倒れると学んだので、初日に使い魔にすることが出来たのは運が良かった。
夕刻まで使い魔を先導して獣や果物などの食料採取に
翌日ーーー
「・・・か、身体が、痛い」
ベッドが無く床で直接寝ていたので、翌朝は身体のあちこちが痛かった。さらに昨日はお風呂に入っていなかったので、なんとなく匂う気がする。
「・・・今日はベットとお風呂を作ろう」
朝食を終えて、昨日切り倒した木で使っていないものを加工してベットを作る。小屋を作ったことを考えれば簡単で、1時間ほどで作ることが出来た。
さらに快適な睡眠のためにふかふかな布団が欲しくなったので、グランド・ワームを探すことにした。
グランド・ワームは土の中に生息する芋虫型の魔獣で、その表皮は10cm程あり、弾力性に優れ敷布団として使うには最適だ。また吐き出す粘液を熱湯と少量の砂で混ぜ合わせて乾燥させると防水材として使えるらしいので、屋根とお風呂に使おうと考えたのだ。
「頼むぞ、グランド・ワームを探してくれ!」
使い魔2匹の頭を撫でながら指示を出す。どちらも鼻が利く種族なので期待が出来る。少しするとファング・ボアが鼻を鳴らしながら走り出したので後をついていく。20分程ついていくと平原の砂地のような場所で立ち止まっていた。
「ここにいるのか?」
そう使い魔に聞くと、
「いた!〈
〈
「今だ!〈
魔獣の口と思われる場所の前方に空間魔法を展開させて、粘液を採取しようと試みる。すると思惑通りに大量の透明な粘液を吐き出してきたが、全て収納させてもらい粘液を吐き終わったところで止めを刺す。
「
表皮を傷付けたくなかったので打撃で倒すと口や尻から粘液なのか体液なのか良くわからないものが吹き出してきた。
「うわっ、汚な~。・・・取り敢えず目的は達したし、こいつを川で洗って綺麗にするか」
色々なものが垂れ流しの状態になっている魔獣を収納し、足早に川へと移動する。
収納から取り出し、頭と尻と思われる部分を切り落として、中身を洗えるように切り口を広げて川の水流にしばらく晒して綺麗にした。最後に乾燥させるため拠点へと戻った。
木に引っ掻けて乾燥している間に次の作業へと取り掛かる。適当な大きさの丸太の中をくりぬいて即席の木桶を作ると、中に水魔法と火魔法で熱湯を準備する。そして収納していた粘液を少しずつ溶かし込んでいき、最後に砂を混ぜ合わせてしばらくかき混ぜると、ドロッとした液体になった。
「こんなものかな?」
次に小屋のすぐ隣に〈
「う~ん、まだ湿っているな・・・仕方ない、魔法を使うか」
第三位階火魔法〈
ついでに昨日のファング・ボアの皮を
一通りの作業が終わった頃には日も暮れてきたので夕飯の準備を始める。調理器具を用意したかったので、岩を〈
「いただきます!・・・・・おっ、うまい!」
肉の味に変化も出来た事に満足しつつ、あっという間に平らげてしまった。
お腹を満たして満足したので、お風呂に入るため水魔法を使って浴槽に水を張り、火魔法でお湯にする。手を入れ湯加減を確かめてからお風呂に飛び込んだ。
「ふぅ~・・・取り敢えず生きていくのに最低限の環境は整ったかな・・・」
夜空を見上げながら一人
「とにかく1年間生き抜かなきゃ・・・明日からも頑張ろう・・・」
お風呂で2日分の汚れと疲れを落とし、今後のやるべき事に想いを
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