第3話 鍛錬 2
日の出と共に起きて20㎞の走り込みを終え、午前中は型と素振りを行い、最後に師匠と組手をする。ボロボロになるまで鍛練したのにお昼を食べるとすっかり体力は回復している。
今日から午後は勉学の鍛練。師匠は武術だけではなく勉学にも
本来貴族位の家に生まれた者は6歳から家庭教師がついてこれらの事を学ぶのだが、僕はそれらを学ぼうとせず、また両親も僕には無関心だったのでそういった知識はまるで無かった。
ちなみにこの国では15歳になると全ての国民が国立魔道武術学園で3年間学び、成人となる18歳の卒業と同時に学園推薦の職に就き人生を歩んでいく。その為3年間の内に
例外があるとすれば余程の頭脳か才能を持っているかになる。
この世界の歴史は記録がある1500年前から
これまでの歴史では国と国との争いが定期的に起こっており、
ここガーランド大陸には5つの国があり、それぞれオーガンド王国、フロストル公国、ミストリアス国、エリシアル帝国、イグドリア国が互いに領土争いをしながらも絶妙な軍事バランスの上に成り立っているらしい。
ちなみに僕が生まれた伯爵家はオーガンド王国の領土であるフリューゲン辺境伯領を治めていた。
魔法学では、この世界の6つの魔法についてで、火・水・土・風・光・闇があり、それぞれ第一位階から第五位階までランク分けされ、各国とも高位の魔法が行使できることが魔法師団に入れる条件となったり、裕福な生活を送れるかの分かれ目でもある。ちなみに光は明かりと回復を、闇は暗闇と召還を兼ねているという。
基本的に人間は全ての魔法が使えるが、才能の無い者はどんなに努力しても第二位階までしか扱えないとされている。第三位階以上になるには才能があることが絶対条件となる。
更にこの魔法の階位には続きがあり、全ての系統を第五位階まで極めると空間魔法という新たな魔法の習得が可能らしいが、一体どんな魔法なのか中々師は教えてくれなかった。しかしなんで師匠はそんなことまで知っているのか・・・。
魔法の威力を分かりやすく表現するなら第一位階は日常生活で役立つ程度。第二位階はサバイバルで役立つ程度。第三位階は単体の魔獣や対人戦で討伐出来る程度。第四位階は多数の魔獣や人々を相手にして殲滅出来る程度。第五位階は魔獣の群れや一国の軍隊を相手に殲滅出来る程度の威力がある。
魔獣については、食べて美味しいものから、その素材が高額で売却できるものまで幅広い知識を教えられた。師匠が出してくれる食材もそういった旨い魔獣の肉を保存しておいたものらしい。力の強い魔獣ほど美味しいことが多いので、今後の実戦ではそういった魔獣を狩るようにすると言われた。
魔獣は世界中に分布しており、ゴブリンのような少し武術の心得があれば倒せる存在から、龍のような人の力では討伐不可能と言われる存在までいる。弱い魔獣ほど数が多く、討伐には相応の人手も必要なことから国家認定冒険者協会に登録することで討伐した魔獣に応じて報奨金が支払われるらしい。冒険者にはランクがあり、駆け出しの銅ランクから銀・金・プラチナ・ダイヤのランクがあり、上位のランクに行くほど待遇も報奨金も良くなるという。
才能については詳しくは才能辞典を読めと言われた。ただ覚えるべき事として、意識しなくても常に才能の効果が現れるものと、意識して才能を使わないと効果が現れないものがあるらしい。また、上位才能へ至るものも教えられた。
上位才能はその練度にもよるが、使い方次第で一国を滅ぼすことが出来るという。
現在までに確認されている上位才能は、剣士の才能が剣聖へ、経営の才能が統治へ、鍛冶の才能が錬成へ進化している。才能が剣聖へと至った者の振るう剣はその一振りであらゆる物を切り裂き、大地を割るという。また、錬成の才能へと至ったものが作る武器には魔力が宿り、使用者の魔法素質に関わらず強力な魔法を使用できるらしい。その為、各国とも上位才能に到達した人物を国の中枢に囲うことで相手国への抑止力としているらしい。そして上位才能について師匠が言うにはもう一つあるのだという。ただ、私がまだ家にいた時に庭師の爺ちゃんには3つしかないと聞いていたので質問をした。
「あの~師匠、上位才能は3つと聞きましたが違うのですか?」
「一般的にはそうだ」
「一般的ですか?つまり師匠の知るその上位才能はほとんど知られていないという事なんですか?」
「そうだ。このことを知る者は各国の上層部にも数人しかいないだろう。知れば混乱を招くことになるからな」
「・・・それはどんな才能なんですか?」
「今はまだ教えられん。お前が教えるに値するか見極めてからだな」
その後、社会の常識や礼儀作法に至るまで様々な知識を教えられておよそ一週間で勉学の鍛練は終わり次へと移った。
「では、知識を付けたところで次は魔法の鍛錬だ」
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