第17話 お寺と琵琶湖疏水 その4

 三井寺に戻り、色々見ながら歩いていく。

 若い人たちが意外と多いことに疑問を持っていると、ちとせがある看板を見つけた。


「るろうに〇心?何それ?」


 看板曰く、るろうに〇心というドラマの撮影で使われたとのこと。

 実際のシーンとともに該当箇所に設置されており、よくよく見てみればあちこちに同じものを見つけることができる。

 そりゃ若い人たちが多いのも納得、と頷きながら、歩いていく。


 

 最後に向かったのは、観音堂。

 なんでも、西国三十三所観音霊場の第十四番札所らしい。

 その脇には舞台があるほか、観音堂の前からみる景色はとても素晴らしいとのこと。


 そして、いくら観音堂が離れているとはいえど寺の中なのだからそこまで離れていないだろう、と高を括っていた。


 結果。


「ちょっと待って、これ、離れ過ぎじゃ、ない?」

「ほんと、そうだ、ね」


 ひたすら続く登り坂と階段に、すっかり息が上がってしまっていた。


 それでも、なんとか観音堂までたどり着き。

 そこから広がる景色を見た瞬間、俺たち全員の疲れが吹き飛んだ。


「おお〜!すげぇ綺麗!」

「海じゃん、これ!でもすっごく綺麗!」

「街が小さく見える……」

「これが琵琶湖か……」


 眼下に広がるのは、海と言われたら信じてしまいそうなくらい大きな琵琶湖と、湖と山の間の僅かなスペースに広がる町並み。

 なんとも幻想的な、とてもきれいな琵琶湖がどどーん、と広がる。


 というか、福井県の方に至っては琵琶湖の反対側が見えず、地平線ではなく水平線になってしまっている。

 眼の前に広がるのが実は海って言われたら間違いなく信じてしまうであろう、そんな光景。


 それを堪能し、観音堂を見学。

 厳かな雰囲気漂う観音堂を見学したあと、もう一回景色を見る。


 ちょうど真下のあたりに琵琶湖疏水、そして先程までいた橋や、その奥の民家の間を走る京阪石山坂本線を見る。

 こうしてみてみると思うのだが。


「京阪石山坂本線って結構小さくて短くて、かわいい列車だよな」

「それは分かる。この世界はミニチュアかな?って思うくらいだもん」

「やはりね……お、来たぞってあれはまさか!?」


 ちょうど走ってきた列車を望遠レンズで捉え、その正体に連写しながら喜ぶ。


「ユーフォラッピングだ!」

「うそっ!?……ホントだ〜!ユーフォじゃん!」


 今後乗る予定はなく、おそらく今年は見れないだろうと諦めていた、京阪石山坂本線の、アニメ『〇け!ユー〇〇ニアム』の2022年版ラッピングが施された車両を見ることができた俺とちとせは超大喜び。

 一方、作品を知らない武弥たちはそれを冷めた目で見る。


 政信&ちとせと、武弥&彩希の温度差の激しさに、なにかあったのか、と心配する、その場に居合わせたクラスメイトたちであった。




―・―・―・―・―・―・―・―


 あと1〜3回でホテルに着きます。

 ホテルではまさかまさかの、ちとせちゃんご大胆な行動に出て……?


 さらに同じホテルには政信の知り合いが?


 政信&ちとせ、どうなる?


 乞うご期待!

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