第19話 超高層ホテルと恋敵 その2

 琵琶湖沿いの大きな道路を走っているうちに、大きな建物が見えてきた。

 他に高い建物が無いせいか、とても目立っているそこが、今日の宿泊先である。


 びわ湖大津プリンスホテル。


 言わずもがな、有名ホテルである。

 普段の修学旅行では宿泊しないが、今年は旅行支援が使用できるとのことでここになった。

 なお、他にも宿泊している学生団体がいるので気をつけるように、との忠告を事前に受けていた。


 ホテルに着くと同時に体温を測り、部屋のカードキーを貰って入る。

 エレベーターを使って自分たちの部屋がある階まで一気に上がる。

 今回は25階の部屋。

 25階のエレベーターホールには、俺たちの大きな荷物が纏めておいてあり、そこから自分のを運んでいく形になっていた。


「ちとせ、荷物持つよ」

「いい?」

「うん。キャリーケース2個くらい平気だよ」

「じゃあお言葉に甘えて。彩希ちゃんも……ってもう持ってもらってるんかい!」

「えへへ〜、私より先に見つけてたんだもん」

「ほれ、早く部屋行くぞ〜」

「あ、ちょ、待ってよ〜!」


 右手に俺の、左手にちとせのキャリーケースの取っ手を持ち、カラカラと引きながら歩いていく。

 部屋は一番端っこのほかより大きい部屋。

 ドアを開け、中には行って目につくのは大きな窓。

 部屋が琵琶湖に面していることもあり、その光景は――。


「おお〜!すっごい景色よくない、この部屋!?」

「ほんとだ、琵琶湖が一望できる……っていうか反対が見えなくて水平線になってるし」

「確かにこれ海だよな……」

「な。……ベッドは同じものが4つと。……どういう並びにする?」

「私は政信の隣ならどこでもいいよ」

「タケくんの隣ならどこでも」


 ……。


「武弥、お前窓側行くか?」

「政信が壁側?」

「そういうこと」

「ならいいよ」

「よし。……壁側から俺、ちとせ、彩希、武弥の順な。このあとは夜ご飯のときに下に降りて、そのまま売店使用可能時間が続いて、あとは消灯まで特になし、か。……ご飯のときに財布とエコバッグは必須だな」

「そうだね。ご飯まではどうする?」

「早めに降りて席確保するのはいいとして、その前に部屋着に着替えたほうがいいでしょ。俺と武弥であっち行くよ。そこで一旦閉め切ればいいでしょ」

「あ、あれ扉だったんだ」

「そうだよ。風呂、リビング、洗面所と遮断できるっていうわけだ」

「なるほどね……。さっさと着替えて遊ぼ?」

「それもいいけど、更に早めに降りて売店のラインナップとか広さを軽く確認しとこう。場合によってすぐに行った方がいい時と時間をおいた方がいいときがあるから」

「そうだね」




 と方針がまとまり、そこそこ早めに降りることが決まった。







 このとき、まさかこれが修羅場と、長期間に渡る女の戦いを連れてくるとは思っていなかった。

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