第1話 集合はいずこ
千春たちとの闘い、そして衝撃的な事実のカミングアウトから早くも2週間。
中間考査も終わった10月下旬の火曜日の朝。
修学旅行当日がやってきていた。
「ふわあぁ、やっぱりまだちょっと眠いね」
「そりゃいつもよりも早いからね。でも集合に遅れたらほんとにまずいからしょうがないよ」
「そうだよね〜。それに電車の中で寝ればいいだけだもんね」
初日の集合時刻は、朝の8時39分。
なぜならば、集合場所はのぞみ211号の車内であり、遅刻は乗り遅れを意味するからである。
出欠を取るのは新幹線の車内だから、遅刻したら最後、修学旅行にはいけないというわけで。
いつもよりも1時間以上早起きし、事前に学校の指示通りに送った大きな荷物の伝票や財布をポーチに入れ、スマホの充電器ごとカバンに突っ込んでうちを出る。
「なにげに新幹線に乗るの久しぶり?」
「そうだね。関西方面に行くときって大体サンライズで行ってるもんね」
関西方面に行くことはあるものの、上総一ノ宮駅を始発電車で出発して新幹線に乗り継ぐより、寝台特急サンライズを使うほうが向こうに着くのはなんだかんだ言って早いこともあり、ここ最近は新幹線を使っていなかった。
とはいえ、新幹線乗り換え口の場所などは覚えているが。
忘れ物がないか何度も確認し、駅についてから再度チェック。
これだけチェックしてれば忘れることはないだろう。
いつもよりも早い時間の電車な上、東京まで行く便になるとグリーン車という素晴らしく快適な車両がついている便がちょうどいい時間にあった。
普段であれば贅沢に該当し、グリーン車は使わないが、今日はとにかく眠かったのもあり、あまり迷わずに使用することを選択した。
6時14分に出発して、東京駅に7時43分につく快速列車。
そのグリーン車に乗り込み、東京駅まで仮眠を取る。
ふたり揃って翌日を楽しみにするあまり全然寝られなかったこともあり、2人して東京まで爆睡。
東京駅に到着しても起きることがなく、車掌さんに起こされた。
慌てて荷物をまとめ、電車を降りて新幹線のホームへ。
ホーム上の売店に行き。
「どれにする?」
「朝だし、向こうついたらすぐにお昼ごはんなんだよね?」
「そうだね」
「じゃあこっちのサンドイッチとかをいくつか買って分ければいいかな?」
「そうするか。ついでだからこっちも買っていいか?」
「なにこれ?」
俺が取ったのは、東海道新幹線限定のチップスター。
何回か食べたことがあったのだが、本当に美味いのである。
それも一緒に購入し、ホームの乗車位置に並ぶ。
するとその後ろから。
「おーおー、朝からお熱いですなぁ」
「政信、ここは公共の場だからな?」
武弥たちのからかう声が聞こえてきた。
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
東京駅に来るまでは結構簡素に書いています。
ここからの修学旅行本番は手を抜かずに書いていきます。
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