年末記念SS 大掃除(またの名を発掘作業)
本日は年の瀬迫る12月30日。
「よしっ、大掃除頑張るぞー!」
頭に三角巾を巻き、マスク、エプロン、伊達メガネに45Lのゴミ袋とフル装備のちとせ。
対する俺も、半ば強引に同じような格好をさせられていた。
「大掃除ってそんなに張り切ることかな……?別にそんな本格的にやらなくてもいい気がするけど」
「ふふん。甘いよ、政信。大掃除ということは家中のありとあらゆるものを見つけ出す大チャンス。……例えば過去のアルバムとか、ね?」
そう言い放つちとせの目には、なぜかハートマークが浮かんでいた。
「……ちとせ、どうしたの?何かテンション変じゃない?」
「な、何でもないよ!?決して小さいころの政信の写真見たいとかそんなんじゃないからね!?」
「全部答え言ってますやんけ……」
最も、普段は凛々しいちとせが見せるこのギャップにやられているわけだが。
今年は例年と違い母がおらず、父も忘年会だ何だで帰りが遅くなるらしいので、気兼ねなく掃除し放題というわけだ。
お互いの自室やリビング、キッチンなどを中心に、徹底的にやっていく。
窓も、壁も、扉も、片っ端から綺麗にしていく。
ついでに自室の衣替えも実行し、かねてより集めていたポスターやらなにやらを貼ったり、ちとせとの写真を飾ったり。
ついでにカレンダーも来年のものに差し替える。
それらが終わり、一部の部屋を除くすべての部屋と階段の掃除を終わらせ、床にワックスをかけてゆく。
それらも終わり、全てが完了したところで、最後の難関、倉庫に挑む。
「開けるぞ」
「うん」
扉の先には、棚がびっちりと並んだ空間が広がっていた。
中に並んでいたのは、たくさんの本とアルバムたち。
「うわ、たくさんあるね……」
「そうだな。どうやら家の親が子供のときのやつからあるらしいからな。アルバムだけでも相当な数だよ」
「こっちにはいっぱい本があるね。……このあたりのやつは政信のでしょ?」
「そうだ。よくわかったな」
「だって流石にラノベは読まないでしょ?」
言われてみればそうである。
「そうか。……お、ちとせのお目当てのやつ見つかったぞ」
そう言って棚から抜き出したのは、若干古いアルバム。
西暦からして、産まれる半年くらい前から1歳くらいまでのやつ。
「うわぁ、赤ちゃんの政信がすっごいかわいい!」
「というか、これはじめから見たら最初の方俺母さんのお腹の中じゃん」
「ホントだね。……こっちのやつは……幼稚園のときだ!園児の政信も可愛い〜!……この写真すっごく欲しい!」
その後も次々とアルバムを開いていくうちに、ちとせは写真が欲しいと大騒ぎ。
ついにその瀑上りテンションについていくことが困難になってきたため。
「ちとせ、そんなに欲しいなら欲しいやつ全部今印刷しようか?一応データはあるから」
「ほんと!?できれば今すぐに頂戴!ていうかデータもコピーでいいから頂戴!」
ものすごい食いつき気味にお願いされたので、全部後で選ぶことにする。
そして。
「あ」
「……高校入った頃か」
高校生に差し掛かった。
あまり見たくない思い出である。
あのころは千春と付き合っていた。
今思えば、なんであんなやつと付き合っていたのか、と後悔が次々に浮かんでくる。
だんだん暗くなっていくのを察したのか、ちとせが突如として立ち上がると。
「辛いなら甘えてもいいんだよ」
正面から抱きしめてきた。
俺の顔は必然的にちとせの大きい2つの魅惑の果実に包まれる。
ちとせの優しさに包まれているうちに、何故か涙が流れてきてしまう。
「悲しいの?」
「いや、多分違う。……悔しいんだ」
「悔しい?」
「ああ。ちとせも好意を寄せてくれていたというのに、俺は千春を信じてしまったんだ。その結果がこれたよ。最初からちとせと付き合ってれば、今のような幸せな生活がずっと続いていたって思うととっても悔しいんだ」
「そっか……。じゃあ政信、そのこと忘れちゃおうよ」
「へ?」
何を言っているのか理解できず、ちとせの顔を覗き込むと。
そこには目にハートマークを浮かべた、艶めかしい雰囲気のちとせがおり。
そのちとせの雰囲気にのまれてしまい、大掃除をしたばかりのベットで何度も交わってしまうのだった。
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ただの大掃除とはいかない相変わらずの2人でした。
昨日予告したとおり、来週月曜はお休みします。
私も部屋の衣替えをしまして、推しキャラ(『五等分の花嫁』の「中野二乃」です!)のポスターやらフィギュアやらに囲まれております(最高です)。あとはカレンダーがあれば完成なんですが、今のところ見つかっておりません。
なんとか見つけたいです。
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