第33話 起床と消臭
翌朝。
絶妙な暖かさと柔らかさに包まれた俺が目を覚ますと。
眼の前に生まれたままの姿のちとせがいて、びっくりする。
が、ちとせの姿を見てるうちに、昨夜のことを思い出す。
昨日は愛を伝え合い、注いで注がれてを繰り返していたのだ。
あのときのちとせは可愛かったなあなどと思っているうちに、昨晩の様子が脳内で再生され始めてしまう。
途端に恥ずかしくなり、思わず布団に包まってしまう。
そんなことをしているうちにちとせが起き。
「ふわあぁ〜。おはよ、政信」
「おはよ、ちとせ」
「……。と、とりあえず着替えよ?それで支度しないと。今何時?」
「今は……、まだ6時だね」
スマホの時計を見れば、まだ起床時刻だった。
今日は朝ごはんの前に荷物をまとめて先生のチェックを受け、部屋の鍵を返却しなきゃいけない。
つまり、朝ごはんの前に部屋の中を空にしなくてはならない。
幸い、ある程度支度は終わらせてあるからそこまで時間はかからないとはいえ、いつ先生が来るかわからない。
ささっと着替えて荷物を片付けていると。
コンコン。
ノックの音が聞こえ、俺とちとせは顔を見合わせる。
いくらなんでもまだ6時半過ぎ、先生が来るには早すぎるので。
「どうする?開ける?」
「一旦のぞき穴から見てからにすれば?彩希ちゃんたちだったら開けていいんじゃない?」
「了解。じゃあ俺が行ってくるわ」
のぞき穴から覗いてみれば。
そこにいたのは武弥と彩希さんだった。
「早朝からどうしたの?」
「いや、荷物まとめ終わったんだけどいくつか見当たらなくて。こっちに置いてきたかもしれないから見に来たんだ」
「ふーん。じゃあまた戻るの?」
「いや、もう鍵の返却は終わらせたから大丈夫。このままこの部屋にいるわ」
「はいよ。じゃあ入っちゃって」
そう言って、開けたドアを指差す俺。
武弥たちがそそくさと荷物を持って入ったのを見たところで、後ろ手でドアを閉めて部屋に入る。
中に入ってみてみれば、武弥と彩希が揃って匂いを嗅ぐ仕草をしていた。
「ねえねえちとせちゃん、ファブった?」
「な、なななんで?」
「……だからか。彩希、これああいう香りだよな?」
「うん、間違いなくそうだよね。……ちとせちゃん、昨日夜遅くまでアレやってたでしょう。匂いが残ってるよ、匂いが」
「残ってる……?」
「うん。たっぷりと。相当お楽しみだったんだろうな〜って感じだね。もうこっちでファブリーズかけちゃうよ?」
「……お願い」
ちとせの承諾を聞くなりファブリーズをまき始める武弥と彩希さん。
それを見ながら俺たちは、色々反省するのであった。
今晩からは羽目を外さないように精一杯努力するべきだろうな、できるかはわからないけど……
そんなことをしていると。
コンコン。
再びノックの音が響き、全員の動きが止まるのだった。
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