第23話 復讐という名の地獄落とし 後編 3

 ピンポン。

 インターホンが鳴り、来客を知らせた。

 モニターには千春の姿が写っている。


「鍵は開いてる。入ってきなさい」


 おじさんの返答を聞き、家に入ってくる千春と邦彦。

 リビングまで来ると、入り口で俺達の姿を認め立ち止まる。

 当たり前である。

 俺達は邦彦も来ることを知ってはいたが、彼女等は俺達がいることを知らないのだから。


「何をしてるんだ。早く座り給え」


 おじさんのいつもよりも数倍は低い声に慌てて座る千春と邦彦。

 その向かいには俺とちとせ、その両隣におじさんとおばさんという構成。

 全員が着席したのを確認し、おじさんが口を開く。


「邦彦くん、今日ここに来てもらった理由はわかってるね?」

「はい、存じております」

「じゃあ後は政信くんにまかせよう。よろしく頼むよ」

「分かりました。……ほんとは貴様らと会うことすら吐き気がするんだが。仕方ないから話をしよう。そもそもお前たちは一体どこまで人のこと舐めてんだ?こうなったのはお前たちの行動が原因だろ」

「申し訳ない。もう二度としないから許しては貰えないか?」

「あんなことされて許すやつが居るわけ無いだろ」

「そこをなんとか頼むよ。親友だろ?」

「嫌だね。大体お前はもう親友でも友達でもなんでも無い。ただのゴミだって前にも言ったはずだが」

「私からもお願い。もう二度と裏切るようなことしないから。また元に戻ろうよ、私達ならできるって」

「てめえにいつ発言権を与えた?だいたいそれも嘘だろう。何が目的が知らんが、今度は何して騙そうってんだ?」

「えっとね、昨日知ったんだけど、私のお腹に赤ちゃんがいるの。時期的に政信の子よ」


 爆弾発言に全員が固まった。




 言ってやった。

 私のお腹に赤ちゃんがいるっていうのは本当のこと。

 なぜなら、邦彦と毎日生でしてたから。

 でもちょうどいい。

 政信の子にしてしまえば邦彦と別れられるし、政信とくっつくこともできる。

 政信のことだ、騙せるだろう。

 そう思っていた私はこのとき、まさか読みが大きく外れるとは思えなかった。




 千春のお腹に赤ちゃんがいる。

 その情報は周囲の人間を皆混乱させた。

 邦彦も知らなかったようで、目を見開いて驚いていた。

 しかし詳しいことがわからないことには何も手立てがない。


「千春、お前今何と言った?」

「赤ちゃんデキたって言ったの」

「今何ヶ月?」

「昨日で2ヶ月だって」


 なるほど。

 それでもってよく騙せると思ったな。

 俺はそんなに馬鹿ではないし、保健の授業もちゃんと受けてきてるぞ。


「千春、妊娠2ヶ月は本当だな?」

「そうよ。なにか文句ある?」

「じゃあ言ってやろうか。その子は俺の子じゃない。大方邦彦との間の子だろ?騙せるとでも思ったのかもしれんが俺は騙されんぞ」


 こちらが落とした爆弾に、部屋の空気がもう一度固まった。


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 こういうの何ていうんでしたっけ?

 結婚詐欺?

 でもそれは違うかな……?


 ご存知の方はコメントでお知らせください。

 次回は政信くん大反撃の回です。


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