第34話 ちとせの復讐 その2
本当にブチギレたちとせ。
それを見たことあるものは、ただの1人もいなかった。
それを知らず、ちとせがどこまで怖いのかをちゃんと理解できていなかったこと。
それが、邦彦達2人の命取りになった。
もっとも、今更ではあるが。
さて、ブチギレたちとせは当然のことながら、手加減なし、情けも一切くれてやらないという徹底っぷり。
質問をするときも、とりあえず口を開く前に、手や足を本能の赴くままに動かす。
相手が政信なら、襲いかかって生まれたままの姿にして次世代育成に取り掛かるわけだが。
これが憎き邦彦なら話が変わるどころではない。
本来であれば千春にくれてやる分ができないのが分かっているため、その分を上乗せして邦彦にぶつけていた。
当然普通のパンチやキックで済むはずがなく。
一発の重みがまず桁違いだった。
よほど鍛えていない限り、あまりの痛みに悶絶してその場にうずくまってしまうほどの重みが込められた拳が、お腹や下腹部を中心に狙いを定めていく。
当然邦彦がそんなに鍛えているはずもなく。
「フゴォ!」
「何変な声あげてんの?キモいからやめてくんないかな?それとも声が出せないようにしてやったほうがいいかな?」
なんとも間抜けな苦しみ声に、余計に苛立つちとせ。
「いい加減質問するわ。あんた、あんなことして何がしたいの?」
「そんなの、俺はやりたくなかったに決まって――」
「嘘ついたら殺すって言わなかったっけ?」
すっと手を伸ばして首に腕を巻き付けるようにして襟を掴み、締め上げながら顔を近づけ、至近距離で睨みつけながら小さい声で言うちとせ。
当然邦彦は震え上がり。
「本当はお前たちを同じ目に合わせたくてやりまし――」
「口のきき方。あんた加害者。私達は被害者。加害者が被害者に向かっておまえとか言うんじゃないよ。次同じことしたらその口縫い付けるからね」
ただでさえぼうぼう燃え上がってる炎にガソリンを突っ込むような言動をする邦彦。
当然ちとせの怒りの炎はどんどん燃え上がっており。
「次から嘘ついた時点で何も言わずにぶっ飛ばすから」
どんどん暴走していってしまうのだった。
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