第39話 浮気偽造の罪は重い その1

 各々で行った尋問が終了し。


 再びこの場の一同が1つのテーブルに収まった。

 それも全て、最後に残しておいた大変大きな議題を話し合うためである。


「じゃあ最後に、俺たちが浮気したかどうかの話し合いに入ろうか。といっても、していないという事実に変わりようがないけどな」


 前置きは短く、本番はじっくりじっくり。

 やっぱり一気に苦しめるより、じわじわと長時間苦しめるほうが楽しい。


 ちなみにそれは俺よりもちとせのほうがその傾向が強く。

 あえて証拠をたくさん用意しておきながら一切漏らさずちょっとずつしか出していかないのも全てちとせの策略によるものだ。

 ちなみに、その話をしていたときのちとせの笑顔はものすごく怖かった。

 なんというか、これが殺戮の権化ですと紹介しても十中八九信じるだろうな、という感じだった。


「さて、まずなぜ俺たちが浮気しているという話になったのか聞かせていただこうか」

「それはもちろん証拠が揃ったからですが何か?」

「ほう、それはつまり、俺たちが反論することさえままならないようなレベルで、否定する余地もないくらい追い詰められるほどの証拠があるということでよろしいかな?」

「そうだと言っています」

「そうか。では証拠を見せていただこうか」

「そうですね。まずはこちらを。これはあなた達が通う高校のある監視カメラが捉えた映像になります」


 そう言って見せてきた映像に写っていたのは、俺と彩希さんが空き教室で話し込んでいるという映像。

 わざわざ廊下を見渡してからこそこそと入ってきているということから、怪しいと思われるようだ。

 映像の中の俺は、彩希さんを連れて外へ出ていっていた。


「その後の足取りは掴めませんでしたが、ショッピングモールでの目撃証言がありました」


 そう言って見せてきたのは、1枚のスクショ写真。

 それは、俺が女性を連れて歩いていたのを見たという趣旨の投稿だった。


「ここから、政信くんがそこの川崎さんと2人っきりで出かけていたことがわかります」

「そうか。で、何がいいたい?」

「またこのような事例は何日か見つかっています。これらから推測すると、どう考えてもある一定以上の深い関係にあるとしか考えられないのですが」


 そこまで言うと、ドヤ顔になる邦彦。

 そこまでの証拠がアレば認めさせることが出来ると思ったようだ。


「バレちゃったら仕方ないですね。……なんて言うと思ったのか?」

「は?」


 バレた、と言っておきながらぜんぜん違うことを言う俺。 

 次の瞬間。


「あはははははははっ!」


 大きい声で笑いだしたちとせ。


「待って待って、やばいこれ笑いが止まらないんだけど。ひひっ、邦彦、それ日付言ってご覧よ」

「え、そりゃ◯月△日、◯月――」


 全部羅列していく邦彦。

 そして。


「うん、邦彦くんが言った日は全部政信と彩希さんが買い物に行ってる日で合ってるよ。あとその画像ちょっと貸して」


 そう言って強引に奪うと、画像の一点を拡大する。

 そこには。


「ほら、私は2人で出かけること事前に聞いてたもの」


 前の地味子モードのちとせが写り込んでいた。



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 政信と咲希が一緒に買い物に行った理由とは……?


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