第40話 浮気偽造の罪は重い その2
浮気の証拠だと思った写真が、浮気の証拠にならない可能性がある。
その事実は、邦彦を困惑させるのに充分だった。
「そ、そんな馬鹿な!ちとせは写ってなかったはずだぞ!」
「そんなに言うなら該当日にその後撮った写真見なよ」
そう言ってちとせが差し出したのは。
「な、4人で写ってるだと……?」
「証拠って言って出してきた写真が撮影されたあと、私と武弥くんは別々に2人と合流してみんなで夕飯食べに行ったのよ」
「そ、そんなはずは――」
「何あんた、私の何を知ってるわけ?さっきから私たちのことをなんでも知ってる風に装ってるけどさ、うざいだけだよ」
撃沈する邦彦。
「で、これのどこが浮気現場なんですか?」
「だっておかしいだろう!彼女持ちが別の女と一緒にショッピングに行くなど言語道断だぞ!」
「あんたに言われたくは無いわよ。それに、これは4人全員合意のもとだからね」
「は?」
何を言ってるのか理解できない、という表情をする邦彦。
「私には彩希ちゃんが武弥くんへのサプライズプレゼント選ぶのに貸してほしいって言われたからね、何回か許可したのよ」
「俺は政信がちとせへのプレゼント内緒で買いたいから助けてほしいって言うんで彩希と行ってくることを了承したんだよ」
まさにそのとおりだった。
俺はちとせへの、彩希さんは武弥へのサプライズプレゼントを買うべく2人で何回かショッピングモールに行っていたのだ。
ちとせと武弥が尾行するもんだから、バレないようにするのが大変だったが。
それでもなんとかバレずに無事買い物を済ませることができ。
お互いにパートナーにとっても喜んでもらえたから良しとしよう。
とはいえど、これは関係者全員の同意と監視のもと行われていたことであり、浮気行為にはなりえない。
そもそも、なぜ退学処分になったはずの邦彦や千春が在籍していない高校の監視カメラ映像、それも本来在校生や教職員ですら見られないものを見られたのかが不思議だ。
絶対に何かしらの犯罪行為を行わなければ見ることができないはずである。
「ちょっと質問いいか?」
「何?あまり変な質問はしないでよ?邦彦のバカは答えられないだろうから」
「んなこたぁ分かってるよ。それに、これは重要な質問だからね。……邦彦、この動画は何で撮影されたものなんだ?」
「そりゃもちろん、設置されてる監視カメラですが?」
「本当だな?お前が仕掛けた盗撮カメラとかではないな?」
「だからそうじゃないって言ってるだろうが」
その回答を得た瞬間、ニヤリ、と笑みが溢れる俺。
そして、その意図に気づいたのか。
「ああ、そういうことね。……ふふっ、質問された側も気づかないなんてなんてバカなんだろう」
ちとせはニヤニヤしながら、そう呟くのだった。
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墓穴を掘っていくスタイルの邦彦くんです。
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