第47話 千春の罠と救いの手 その1
政信の親の本気がないという指摘があったので、補足。
政信の母はこの話で最後の方に出てくる事実を早々に突き止めており、それを千春の母に提供。
その判断の客観的証拠とともに説明し、今後の流れを主導するとともに、本当の悪人を潰し、ある意味被害者である千春を救う方法を編み出しています。
他にも、法的措置を用いた邦彦たちのSNSアカウントの早期停止措置などにも貢献しています。
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決着が着いてから1週間後。
俺は、ちとせとともにある人物と向き合っていた。
彼女の名前は千春。
ちとせの双子の姉にして俺の元カノ。
浮気して間男である俺の元親友兼ちとせの元カレだった邦彦の子を授かっていた。
正直、あのままの態度であればもう二度と会いたくはなかったが。
お義母さんに頼みこまれ、渋々会っていた。
そして俺たちは、驚愕の事実を知らされることになる。
話を遡ること2日前。
決着がついたあと、千春は邦彦とは接触を断っていた。
両親に言われたからというのもあるが、1番の理由は、邦彦に愛想を尽かしてしまったことと、自分の行動がどれほどいけないことだったのかを理解したからである。
特に、邦彦のあの本性を知ったときは愕然とした。
ひょっとしたら、私と付き合っていたのは全て政信に勝つためであり、私はそのためのただの道具だったのではないか、と。
そして部屋に籠もって反省すること5日がたったこの日。
千春は突然強烈な目眩に襲われ、自室の床に倒れ込む。
そしてそのまま意識を数刻の間手放した。
「うう、頭が痛いな。……あれ、私って妊娠してたっけ?」
長い眠りから覚めたような感覚の千春は、自分のお腹が大きく膨らんでいることに驚いた。
まさか愛する政信の子供を授かっていたのか、と思った千春は、カレンダーを見て困惑する。
日付が1年も先を示していたからだ。
そして、部屋の中を見渡し。
スマホのフォルダを見る。
そこには、自分のいわゆる"ハメ撮り"といわれる写真や、覚えのないデートの写真があった。
「なんで一緒に写ってるのが邦彦くんなの?」
そこまで言った瞬間、千春の中にこれまでの記憶が流れ込んできた。
政信を嫌い、邦彦に手を出されることに喜んでいた日々。
そして、政信とちとせにコテンパンにされ、謎と恨みを連ねていた日々。
「どうして?なんで?なんで私は、わたしは、政信を嫌っていたわけ?なんで邦彦くんなんかに手を出されているわけ?この写真はなんで?どうして?」
そこまで至ったとき、最悪の事実に行き着いた。
お腹の中の子は、邦彦の子である、ということに。
それを自覚した千春は、発狂した。
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千春の部屋から発狂したのが聞こえ、千春の両親は顔を合わせた。
「いよいよ今日か。ほんと、あいつらの言うとおりだったな」
「ええ。ちゃんと千春に説明して、その後政信くんとちとせのところに行かないとね。あと今のうちに連絡入れておくわ」
そう言うと、千春の母は政信の母に電話を入れ、想定どおりになったことを報告。
それが終わるとすぐに千春の部屋へ行く。
「千春?どうしたの?」
「……ママ」
「もしかして、今の状態に気づいた?」
優しく語りかける母親に、千春の涙腺は崩壊した。
「ママ、ごめんなさい!私が、わたしが邦彦くんとあんなことしたせいで、迷惑かけて、政信とちとせに辛い思いさせて、それに、それに……」
途中から嗚咽がまじり始め、最後の方は最早言葉にすらなってない。
それをわかってる母親は、優しく語りかける。
「千春、1つだけ聞かせて?」
「……、何?」
「政信くんのこと、好き?」
「うん。……だからなんであのときの私が政信を嫌って、邦彦くんとあんなことしていたのかがわからないの。自分が自分じゃない感じで、それが怖くて……」
またどんどんトーンが下がり、嗚咽混じりの声になっていくのを遮り、千春の母は衝撃の事実を伝えた。
かくゆう母親本人も、その話を聞かされたときは信じられなかったのだが。
「自分が自分じゃない感じってそりゃそうよ。だってあなたこの1年間、邦彦くんに催眠術掛けられてたんだから」
「えっ?」
何を言われているのか分からない、という表情を見せる千春を催促し、下のリビングルームへと降りていく千春の母だった。
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本当の悪人は千春ではない、といったことの意味がわかりましたか?
なぜこのようなことが分かったのかは、明日明らかになります!
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