第11話 元カノはクズにつき 上
翌日。
ダンス部の開始時刻が遅くなり、貴重な朝寝坊が出来る日ということで今日はギリギリまで寝ようと思っていたのにも関わらず。
ピンポン
とインターホンがなり来客を知らせたのは朝の6時。
「ちとせ、出てもらえるか?」
「言われずとも出るよ。政信はギリまで寝てなよ、最近寝不足でしょ?」
そう言ってリビングに行ったちとせが画面を見た瞬間に一気に不機嫌になり、部屋の気温が一気に下がった。
すぐさま寝室に戻ってくると。
「政信、クズ姉なんだけど」
その一言で瞬時に覚醒するとともに気分が悪くなってくる俺。
「分かった。俺が出る。……ったく、人の親がいないときを狙いやがって」
うちの両親は結婚記念日に合わせて旅行に行ったのを知ってか、絶対に家にいる早朝を狙って家を訪ねてきたのである。
ちなみに、うちの両親は「ちとせちゃんがいるから安心」とか言ってさっさと行ってしまったし(別に行きたいとは思わないが)、おまけに1週間以上も行くつもりである。
帰ってくるのは終業式の日で、練習後に千葉駅に合流という形を取る予定だが、その前に厄介事を解決する必要がまた出てきたということか。
流石に早朝からおじさん達を起こすわけにもいかず、おとなしく入れてやることにする。
「今度は何なんだ、千春。とにかく外で話すのはめんどくさいから早く家入れ」
「……」
無言で入ってくる千春。
そしてリビングに入るなり当然のように椅子に座る千春。
その後から無言で座る俺とちとせ。
「で、要件は何なんだ。そもそも時間がかかるのか?それともすぐに終わるのか?」
「時間がかかるかもしれない」
そういった瞬間、ちとせのまとう雰囲気が一瞬にして冷酷なものになり、部屋の気温は一気に急降下した。
その表情にはものすごい怒気と殺気が含まれており、俺ですらビビってしまうほどだった。
「お姉ちゃん、もう二度と私と顔を合わせるなって言ったけど。ましてや仮にも1年以上付き合ってたんでしょ?それで気づかないわけ?」
「何に気付けって言うのよ?あなた達2人だって元気じゃない」
「やっぱり最初から外っ面だけだったんだね。1年も付き合ってたならこの異変に気づけるはずだもん、だって私はもう気づいてるし」
何を言っているのかよくわからんが、どうやら俺との交際に関する状態のチェックでもしていたようだ。
「ちとせ、悪いけどあんまり時間があるわけじゃないからそのへんで本題に戻させてくれ。で、千春、おまえ今になって今度は何の用だ?」
「実はね、伝えてなかったことがあるの」
「何が」
「私ね、ずっと脅されていたの」
「は?」
「邦彦に『俺と付き合わなかったらどうなるか分かってるな』って脅されて、仕方なく付き合ってたの。この子ができたのも邦彦にレイプされてできたの。その後もずっとされ続けてたし。だからお願い、この子は堕ろすから私とよりを戻してくれない?」
「……お前が言いたいのは、邦彦とは好きで付き合ってたわけではなく、あいつに脅迫されて強制的に交際させられ、子供も強姦されて出来た子であって、だからずっと好きなのは俺のことだからよりを戻してほしい、そういうことか?」
「そういうことよ。次からは相談するようにするから」
嘘八百を並べ立て、被害者面する千春。
あまりに頭にきたその態度に、思わず、
「どの面下げて言ってやがる。んなもん嘘だって分かるに決まってんだろうが。おまえら2人が二人して共謀してずっと浮気してたんだろ。子供の件だってお前が望んだってことも知ってんだよ。だいたい、お前とは二度と顔も合わせたくないと言ったよな。見え透いた嘘つくために朝から来てんじゃぇよ!こっちだって忙しいんだよこのクズ!」
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千春最後(?)のあがき(2部構成)です。
これの後に前々から予告していたちょっとした事件が起きます。
なんか下書き状態になってました。申し訳ないです。
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