第37話 ちとせの復讐 その5

 思わず凄んでしまったちとせは、そのまま怒りに任せて猛攻撃をする。


「赤の他人には話さない?何ほざいてんの?あんたは今どういう立場に置かれているのか本当に理解できてるの?」

「理解してるわよ」

「嘘つくな!本当に理解できてるならそんな事言わないはずだし、そもそも言えないはずだけど?」


 確かにちとせは千春のことをただの赤の他人としか見てないと言ったが、それはあくまでそういう体で対応すると言っただけである。

 間違っても、赤の他人だから喋らなくていいなどと言うつもりはないし言ってもいない。

 というか赤の他人だからこそ細かいところまできちっと話してほしいまである。


 それを、何を勘違いしたのか何も話さなくてもいいと思ったらしい千春の行動に対し、ちとせの怒りが爆発するのは至極当然のことだった。


 おまけに、ついさっきまでブチギレていたまである。

 そんな状態だと、怒りが爆発しやすくなってしまっている。

 そこに、通常時ですら間違いなく爆発するようなレベルのものをぶっこまれて、爆発しないはずがないのである。


「赤の他人だから、話さなかったら容赦しないっていう意味で言ってるんだからね。そこんとこ勘違いしないで」

「はい……」

「じゃあ質問。なんでこんなことしたの?」

「それは……、その……」

「誤魔化そうとするわけ?それともしらばっくれる?」

「そ、そういうわけじゃ……」

「だったら早く話なよ。それとも、無理やり喋らせたほうがいいかな?」


 スッと声のトーンを落とすちとせ。

 ビクッと震えた千春は、観念したように口を開く。


「あなた達が羨ましかったからだよ」

「はあ?」


 何を言っているんだ、という表情を見せるちとせ。


「羨ましかった?どういうこと?」

「だってそうじゃない!振られた奴同士がくっついて仲良くして、私達は喧嘩が多くて。それもあんたたちのせいだって思うとそうなるに決まってるじゃない!」


 やっと鎮火してきて、煙がくすぶっている状態にまで落ち着いてきたというのに。

 そこにガソリンを大量にぶちまけるのが千春流らしい。


 そんなことを言われて、ブチギレない人間がいるはずもなく。


「なにほざいてんの?自分たちが悪い事したからこうなったんでしょ?私達がくっつこうとくっつくまいとそんなの私達の勝手で、あんた達が口を出す必要も理由もない。だいたい浮気してまで一緒になっていたかったんでしょ?なら政信と別れたあと、今の私達以上にイチャイチャしていてもおかしくないよね?だってそれだけ政信より好きだったから、愛していたからこういう事していたんでしょうし。それで羨ましいからってこういう事したわけ?」


 コクリ、と頷く千春。


 それを見たちとせの中で、何かが弾け飛んだ。



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 お知らせ


 こちらの作品を、アルファポリス様にて連載開始しました。

 下記のリンクからどうぞ。


https://www.alphapolis.co.jp/novel/123291540/711722283


 カクヨム版に1日遅れになるように、当分の間は毎日投稿です。

 また、アルファポリスオンリーの作品を来週を目処に投稿開始し、そちらとのコラボストーリーがアルファポリス限定でたまに公開される予定です。


 なお、カクヨムで一時連載が停止している他2作品につきましては、以下の通りとさせていただきます。


『姉と幼馴染と美人先輩の俺の取り合いは、正妻戦争に変わってしまった』→3〜4月を目処に連載再開

『女子校の提携寮の管理人になったが、JK達の距離が両極端で困る。』→当分の間休載(5月の大型連休明けくらいから再開する予定)


 お待ちの方には大変ご迷惑をおかけしますが、ご了承ください。

 

 似たような内容を近況ノートにてアップさせていただきます。



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