第23話 リハビリ中のイチャイチャ禁止なんて法律はない その1
目が覚めてから数日。
いよいよリハビリが始まった。
なにせ1ヶ月以上寝たきりだったせいで、筋肉はガタ落ちである。
このままでは退院後に控えている部活の公演に出れないので、一通り戻す。
目が覚めてからというもの、部活のメンバーやクラスメイトが次々とお見舞いに来ていた。
その中に混ざっていた部長2人から、俺が復帰するまで無期限で延期したと報告を受けた。
ならば全力を注いで復帰するのが筋というもの。
残念ながら、コンクールを見に行くことは出来ず、結果もわからなかったが、報告がないということは全国にはいけなかったんだろうなと理解し、あえて指摘はしなかった。
ちとせはというと、さも当然のように毎日学校が終わるとすぐに来て、面会時間ギリギリまでずっといるようになった。
そして祝日の今日からリハビリということで、朝からちとせが来ていた。
まずは歩行訓練である。
いままでのようにスタスタ歩くことはおろか、何かに掴まっていないと歩けなくなってしまっていた。
片腕でバーを握りつつゆっくり歩いていく。
そのうち、腕にも足にも力が入らなくなってくるが。
「政信、あとちょっとだよ!頑張ってぇ!」
笑顔で彼女に応援されれば百人力。
なんとか目標まで歩ききり、そこにいたちとせに倒れ込むようにしてもたれかかる。
ちとせはそんな俺を正面から受け止め、そのままぎゅっと抱きしめる。
俺の頭はちとせの主張の激しいふたつの大きい果実に押し付けられた。
鼻から入ってくる甘い香り、顔と頭を覆う極上の感触。
しかも、俺のリハビリだと言うのにわざわざトレーニングウェアに着替えてるせいで、その年齢不相応の大きさを誇る果実はこれでもかと主張されており。
さらにはあまりに生地が薄いせいか、体温や肌の感触までもが伝わってくる。
そのまま腕をちとせの腰に回し、少し力を抜く。
するとちとせが唐突に頭を撫で始め。
「頑張ったね、おつかれさま。ちょっとずつでいいから、無理はしないでね」
「無理はしないさ。……あとは腕のトレーニングちょっとしたあと、お昼挟んで午後は勉強かな?車椅子だけどちょっと散歩したいっちゃしたいけど」
「車椅子なら私が押すよ?」
「できる限りは俺が自分で操作するよ。腕のリハビリになるし」
「そっか。じゃあ水分摂って腕のトレーニング始めよっか」
と、そこにきた理学療法士の担当の先生が。
「おふたりさん、仲がいいのはいいんだけどね?あまりハメは外さないでね」
「あ、すみません」
「いや、今くらいならいいよ?なにせここにいるのはおっさんとかおばさんとかジジババばっかりだからね。そのくらいしてくれると微笑ましくてむしろみんなはかどるんだよ」
こうして俺達のリハビリは、リハビリ患者の中で微笑ましいカップルとして有名になってしまった。
一方その頃、未だに反省の兆しのない千春たちはというと。
「ちっ、政信の野郎、生き還りやがったか」
「え、政信って入院してたんだ」
不謹慎にも程がある発言を繰り返してた。
自分たちが原因だというのにも関わらず、である。
そしてこのことはあっという間にちとせに知れ渡ってしまうのだった。
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千春達、心から反省させられる(身の破滅)までカウントダウン開始(ただし本人は気づかない)
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