第13話 第2回復讐準備 6-5

 数日前に来たばかりのちとせの部屋は相変わらず綺麗な状態を保っていた。

 前回同様、小さいテーブルに二人で向き合って座る。

 ほとんど前回と変わらない状態だが、一つだけ決定的な違いがあった。

 それは学校内での復讐が終了したということ。

 すなわち、事実を知っている人間が俺たち以外にもいるということである。

 そんなことを思っていると、ちとせから声がかかった。


「なんかいろいろびっくりしてるんだけど」

「何が?」

「うちの親といい政信の両親といい結構すごい人だったっていう話」

「ああ、あれは確かに驚いたけど、でも納得できるよね。だってうちの親たまに雰囲気が恐ろしくなるんだよ」

「そんなに怖いの?」

「死神が二人みたいな感じになるよ」

「いつもはあんなに優しいのにね」

「確かにそうだな。俺も怒ったところは1回しか見てないくらいだから、よほどのことがないと怖くならないみたいだぞ」

「そっか。……じゃあ、話し合おうか」

「そうだな。取り敢えずスイッター上のことに関してはこっちで全部証拠を押さえとくとして、後どうする?」

「どうせなら千春だけじゃなくて邦彦も潰したい」

「同感。今はもう親友じゃないし丁度いいや」

「でもこっちは潰しにくいと思うけど」


 確かに、千春と違って邦彦は動きがないため潰しにくい。

 しかし、俺にはある秘策があった。

 それをちとせに打ち明けると、ちとせは一瞬目を見開くと、すぐさま詰め寄ってきた。


「じゃあ、邦彦のやつも潰せるのね、合法的に」

「もちろん。なんの問題もないよ」

「やったわ。これでアイツラを本当の地獄に落とせる」


 そう言うと飛び上がって喜ぶちとせ。


「そんなに喜ぶこと?」

「うん。待ち望んだときがいよいよ来るんだもん、嬉しいよ」

「そうか、ならよかった。ところでさ、土曜日って開いてる?」

「今度の土曜日?開いてるけどなんで?」

「遊園地行かない?」

「なんで?」

「二人に見せつけるためだよ」


 ここでちとせは俺の企みに気づいたようだ。

 そう。

 俺たちは土曜日に遊園地に遊びに行く。

 もちろん事前に情報をさり気なく流しておけば、間違いなく千春が食いつくだろう。

 そして千春は邦彦と二人でいこうとするはずだ。

 そして二人の前で堂々とイチャイチャする(もちろんフリだけど)。

 そうすれば、彼らはほぼ確実に嫉妬するだろう。

 あいつら、俺たちに振られたからってイチャイチャしやがって、と。

 ついでに千春たちが要求した条件を全てクリアしている優良物件であることを見せつければ、間違いなくやはり別れなければよかったとなるであろう。

 彼らは自分の彼氏彼女政信とちとせよりも浮気相手千春と邦彦のほうが条件をクリアしていると思っていたのだから。

 そうすれば自然と仲違いし、二人はあっさりと別れるはずだ。

 そこに追い打ちをかけるようにして日曜日に復讐第2弾を実行すれば、彼らへの最高のプレゼントとなるはずだ。


「政信、そんなこと思いつくってやっぱり私よりもやばいんじゃないの?」

「ちとせ、おじさんたちよりもやばかった二人の血を引いているんだぞ」

「あ、そっか。じゃあ納得」

「いやそこで納得しないでよ」

「いいじゃない別に。というかパパたちに許可貰いに行かないとじゃない?」

「そうだね。でも今行ったら邪魔じゃないかな?」

「どうせ相談なんかしないでイチャイチャしてるから行ったっていいのよ」


 というちとせの言葉セリフを信じ、俺たちは再び下のリビングへ向かった。



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 デート案のご応募ありがとうございました。

 いろいろ検討した結果、本文の通りとなりました。

 改めて、コメントくださった方に感謝申し上げます。


 次々回頃よりデート(偽)に入ります。

 なお、他に頂いたデート案は今後使わせていただくかもしれません。


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