第12話 第2回復讐準備 6-4

「ときに政信くん、千春を潰すとのことだが、どのくらいまで懲らしめるのかい?」


 おじさんからぶつけられたその質問に、俺は即座に返した。


「人生を諦めたくなるまで」

「それは……やりすぎではないな。ただ、自殺されては困るからそこは微妙だが」

「あなた、でもあの娘のことだからきっとそんなことはしないわよ」

「なら安心だな。取り敢えず、私の会社の左遷部に就職させられるようにすればいいんだな?」

「そうですね、できれば何も仕事ができないところに救いの手を差し伸べるふりをして就職させるのがいいですが」

「ははは、君もご両親の血を立派に引き継いでるじゃないか」


 ひどいことを言った気がするのだが、返ってきた返答はよくわからない言葉だった。


「うちの親、ですか?」

「ああ。君のご両親と同級生で仲良かったのは知ってると思うんだけどね、高校時代はすごかったんだよ。彼らは二人ともそういうことを思いつく上、すぐに実行する人だったからね。私達もそれなりにそういう人間だったが、彼らほどではなかった。だからね、彼らと私達が仲良いと知られたときは凄かったよ。不良生徒がみんな萎縮するくらいだったからな」

「それはあなたと彼が私達になにかあるたびに死ぬ直前まで追い込んでいたからでしょ」

「当たり前だ。最愛の人間を侮辱したり危害を加えようとするやつを生かしておく必要はないからな」


 なぜそこで見つめ合って甘々空間を作り出すのだ、おじさん達。

 というかこの二人とうちの両親ってそんなにやばい人だったのか。

 まあ今回は大いに助かるからいいのだけれど。


「あの、お二人の時間は後でお取りしますので、そろそろ本題に戻りたいのですけど」


 とたんに赤面するお二人。


「いや、別にそのような時間はなくて大丈夫よ。今のも別にそういうわけではないし」

「そう。じゃあママとパパはなんで今娘の前でイチャイチャし始めてたの?」


 途端、やたら低い声で聞き返すちとせ。

 これにはおばさんもびっくりしたようだったが、こんな事をしてると話が進まないので、容赦なく切る。


「ちとせは一回落ち着け。で、今後はどう動きますか?」


 その問いに答えたのはおじさんだった。


「とにかく、あの娘がどう行動を取るかだな」

「ああ、それなんですが、あいつスイッター使って反撃し始めたんですよ」

「それは本当か?」

「ええ。」

「ならば少しでも早く実行に移す必要があるな」

「すぐにでも、ですか?」

「そうだ」

「証拠集めとかはしなくて良いんですか?」

「とりあえず、あの娘がアップしたコメントは全てスクショしてくれ。そのうえで今度の土曜日の夜にもう一回来てくれ」

「土曜日、ですか」

「そうだ。そこで話し合って、日曜日に決戦だ」

「了解しました。ありがとうございます」

「それは終わってからにしなさい。じゃあ今から子どもたちで上に行って話していなさい。私達も下で話し合うから」

「わかりました」

「パパとママで話し合いを口実にしてイチャイチャしないなら」

「ちとせ、さすがにおじさん達も真面目に話し合ってくれると思うよ」

「ならいいけど」


 こうして俺は久しぶりにちとせの部屋で話し合うことになった。

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