第11話 第2回復讐準備 6-3
数日ぶりに高山家を訪れた俺。
今までは千春の彼氏だったが、今回はちとせの幼馴染として訪問である。
ちなみに、千春とはとっくに縁を切っている。
「うちのバカ娘が迷惑をかけてごめんね、政信くん」
「いえいえ大丈夫ですよ。むしろここで発覚してホッとしています。このまま気づいてなかったらどうなっていたのだろうと思うと」
「そう。それでもうちの娘がしでかしたことはとんでもない事だから。今日はなんか私達に話があるってことだったんだけど」
「ママ、それメールしたよね。なんでいちいち政信に聞くの」
「本人の承諾があるのとないのとではやり方が大きく変わるからよ」
「ちとせ、俺が説明するから落ち着け。……えっとですね、千春が懲りずにまたなんか喧嘩ふっかけてきたんで対処したいという感じなんですけど」
「なるほどね、うちの娘のクズっぷりが聞いて腹立つわね。で、容赦なく潰したいってことだったけどほんとにそれでいいの?」
「ええ。容赦なんて与えないほうが良いです。もう愛想尽かしたんで」
とここまで玄関でおばさんと話していると、若干不満そうなちとせが割り込んできた。
「取り敢えず家に上がってもらったら?玄関先でいつまで喋ってるの?」
「それもそうね。政信くん、上がってちょうだい。中であの人も待ってるから」
「え?おじさんは仕事じゃないんですか?」
「あの人ったら家でも仕事できるからって今週は有給取ったのよ。しかもここ数年有給一人だけ取ってなかったせいで周りから早く取れって言われてたんですって」
そんな家の事情をさらっと言ってのけるあたり、どうなんだろうか。
そんなことを思いつつ、リビングに入る。
「おお、政信くんか。久しぶりだね。ご両親は元気かい?」
「いまだに元気です。というかいまだに超ラブラブです。こないだなんかお父さん帰ってくるなり玄関で深いキスしてそのままベッドに直行してました。そろそろ弟か妹ができそうです」
「あの二人まだそんなことしてんのか。ラブラブなのはいいことだけど……」
そこに爆弾を投下するちとせ。
「パパだって帰ってくるなりママとキスしてベッド行ってるじゃん」
「ちとせ、なんでそれ知ってるの?」
「だってママとパパが部屋に入ると声がすごいんだもん」
「そんなことないと思うけど。ママはそれなりに抑えていたわよ」
「じゃあなんでドア閉めてんのに私の部屋まで聞こえてんの」
高山家の性事情の話が始まってしまい、たまらず割り込む。
「ちとせもおばさんもその話は後でしません?先に相談事をしたいのですが」
「あら、すっかり忘れてたわ。なんだったっけ?」
「ママ、お姉ちゃんのことだよ」
「ああ、そうだ。で、あの子は徹底的に潰すのでいいのね?」
「ええ。容赦なくお願いします」
「そういうことか。こんなことやんのはいつぶりだ?」
「えっと、確か私が大学生のときにストーキングされてたとき以来だから18年ぶりかしら?」
「そっか。あのとき以来か、久しぶりに暴れられそうだな」
「暴れるのはだめよ、一応娘なんだから」
「そうか」
どうやらおばさんは大学生時代にストーカーの被害にあったらしい。
というかおじさんはいったいそのときに何したんだろうか。
とそこまで思ったとき、ふいにおじさんたちの纏う雰囲気が固くなった。
そしておじさんが口を開く。
「ときに政信くん、千春を潰すとのことだが、どのくらいまで懲らしめるのかい?」
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