第2話 ふたりっきりの放課後 その1
「政信、ちょっと今日いつもより機嫌悪い?」
「悪いっちゃ悪い。なにせ上手くなるどころか下手くそになってるんだもの」
「だからって怒り過ぎな気もするけどね。そういえばおばさんからのメール見た?」
メール?
うちの母がメールを送ってきてるわけ無いと思うんだが。
とにかくまだスマホはまだ開いていないのでその旨を伝える。
「やっぱり見てなかったか。今日は夜帰れないからご飯は自分たちで食べて、だって。どうする?とりあえず食材は買い出しに行かなきゃいけないけど、食べてきちゃう?」
一応言っておくが。
この間の一件により千春の妊娠が発覚し、出産までは高山家に一時的に二人揃って住んでいるので(邦彦はこき使われているようだが)、ちとせはうちに避難してきてるのである。
うちの親はちとせの両親と仲が良すぎるので(小学時代からの友人だそう)、ちとせの両親が全部今回の件を暴露した結果あっさりと同居が決まった。
ということは今日はふたりきりである。
大方、両親がイチャイチャしたいだけだろうが。
「冷蔵庫空っぽだし買い出しに行きたい。けど夜遅いしお腹へったし、どっか食べに行くか。あとで買い物して帰ればいいだろ」
「同じこと思ってた。じゃあファミレスでいいよね?」
「ああ、あそこか。なら安いしボリュームはそこそこあるしいいんじゃないか?」
決定、本日の夕飯はファミレスになった。
ファミレスにて。
「ちとせ、そんなに食べられるの?」
思わず口から疑問がこぼれ出る。
そりゃそうだ、ちとせったらドリアにピザにサラダにおまけに食後に季節のジャンボパフェまで注文したのだ。
一方の俺はパスタにミニサラダをつけただけ。
普通は食べる量が逆な気がしなくもないが、そもそも俺が少食気味なのはおいておいて、いくらなんでもその細いお腹に収納しきれるとは思えない。
「ん〜、ピザは4分の1くらい政信とシェアするつもりで注文したし、パフェは半分こしたいなと思ったんだけど、無理そう?」
「そういうことか。ならありがたくいただくよ」
さて、そこから料理を待つ間は世間話の時間である。
「ところで政信、今日絶対に色々あったでしょう?」
「いや、なにもないよ」
「嘘でしょ。だっていつもよりも明らかにぐったりしてるし、機嫌悪いし」
「バレたか。朝から武弥と川口さんに質問攻めにあったんだよ。しかも久しぶりの部活はあんなだったろ?機嫌悪くならない理由が見つからない。なんならコナンのテーマが待ち構えているからね」
「コナンのテーマ?またなんか企んでるの?」
「うん。とりあえず主要3系統のイントロはマスターしてもらわないとだしね」
「そんなにやって大丈夫なの?」
「サボりがあったせいでかなりきついから相当ハードな練習にしないとだね」
その宣言に一瞬顔が引きつるちとせ。
と、そこに料理が運ばれてきた。
「じゃ、冷めないうちにいただきますか」
「そうね」
『いただきます』
<ちとせside>
相当ハードな練習って、一体何するつもりなんだろう?
まあ、先輩相手でも容赦なく罵声を浴びせるから、もうちょっと抑えなきゃいけないかも。
私的には練習すぐサボる先輩たちを黙らせられるからあまり止めたくないし、同級生の中でもそれは一致しているんだけど。
でもそのせいか珍しくモテちゃってるのはすごい嫌だ。
それに最近妙に疲れが溜まってる気がするんだよね。
ちょっと心配。
どうにかして早く堕としてあげないと。
政信に無理だけはさせたくないもの。
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ちとせは無理する政信を止めようと思ってなおさら恋をつのらせてますね(若干ヤンデレな部分が出てきてますが)。
コナンのテーマの主要3系統は、「摩天楼系統」「天国系統」「標的系統」です。
個人的には「天国系統」の「ベイカー街の亡霊」と「天国へのカウントダウン」が一番好きなんですが、皆さんはどうなんでしょう?
ぜひ教えていただけるとありがたいです。
票の大さは今後のストーリーに反映されます(予定)。
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