第5話 長い道のりもあっという間に その4

 もくもくとアイスを食べ、全員が食べ終わる頃には新幹線は三島を通過し、新富士を目指して高速でかっ飛ばしていた。

 新富士までくれば、富士山が車窓に広がるようになる。

 幸い今日はとてもよく晴れており、まさに雲ひとつない青空が広がっている。

 すでに見え始めていた富士山が、走っていくにつれだんだんと大きくなっていく。

 その頂には雪の冠を被り、富士山を描け、と言ったら100人中100人が描きそうな富士山がででーん、と窓の中に鎮座していた。

 こんなに大きく見えればそりゃみんな大興奮で。


「おお〜、これが富士山か!すっこいおっきいね!」


 そう言ってスマホのカメラで連写する彩希さん。


「今日はすっごいきれいだな~」


 じっくりと眺めつつ、忘れずに写真を撮る千春。


「こんなに大きく見えるもんなのか!」


 と驚きながら持っていたデジカメで撮りつつ、彼女彩希さんと富士山を一緒に撮ったり、自分も入って自撮りしたりする武弥。

 俺はというと。


 持ってきていた一眼レフカメラで富士山を撮り、ちとせと富士山のツーショットを撮り、スマホで俺も入って自撮りしたり、カメラで富士山を見てるちとせの横顔を撮ったりしていた。


 それをしばらくやるうちに少しずつ富士山から離れ始め、再び雑談に戻るかと思いきや。


「よし、ババ抜き2回戦を始めよっか」

「彩希ちゃん、今度も負けないからね?」

「ふっ、どうかなぁ?今度こそ私が勝っちゃうかもよ?」

「そうやってのんきなこと言ってられるとも今のうちよ?」


 などと言い合っていたが。

 蓋を開ければあっという間に勝敗が付きつつあった。

 彩希さんがとんでもない強運を発揮し、あっという間に手持ちが0枚に。


 圧倒的な差をつけて1位通過を果たした。


 その後は武弥がそれなりの運の良さを発揮し、2位通過。

 すると当然残るのは俺とちとせであり。


 ここから、俺とちとせによるとてつもなく長くて高度な心理戦が展開されるのであった。






―・―・―・―・―・―・―

 今日は、2023年03月18日、全国の鉄道の春の大規模ダイヤ改正の実施日です。

 今年は大阪駅に『関空特急はるか』や『和歌山方面の特急くろしお』などが停車するようになる他、関東では相鉄と東急の新横浜線がついに(実は計画より5年近く遅れています)開通し、新幹線に直結します(結構CMやってるので見たことある人もいると思います)。

 ほかにも新駅開業など目白押しですが、結構大きくダイヤが変更になるところも多いようです。

 特に朝ラッシュなどは減便があるところもありますので、お気をつけを。


 主人公たちが乗る列車はダイヤ改正に対応しないかもしれませんが、いつかは対応すると思います。


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