第42話 浮気偽造の罪は重い その4
盛大に煽られ、邦彦は怒鳴り返してくるのかと思いきや。
なぜか首を傾げた状態で固まっていた。
どうやらなぜ自分が不法侵入になるのか本当に理解していないらしい。
最も、千春はきちんとそこらへんを理解しているようで、顔を真っ青に染め上げていたが。
分かっていないというのもそれはそれでいいが、とはいえいつまでもその状態が続くのはめんどくさい。
なので俺は、懇切丁寧に教えてやることにした。
「いいか、邦彦。お前は今あの学校の関係者でもなんでもない立場にあるんだ。それは分かるな?」
「そこはまあ分かるぞ?」
「ならなぜお前のその行為が不法侵入であるということに気づかない?」
「はあ?」
「門のところにきちんと書いてあっただろうが。『関係者以外立ち入り禁止』って。なのにお前は入ったんだろ?つまりさ、お前は関係者以外なのにも関わらず無許可で立ち入ったんだよ。あと、そもそも防犯カメラの映像を勝手に入手している時点で窃盗だしな。それでよく警察に連れていかれる必要はないとか言えたもんだよ。自分の犯した罪くらい自覚しろよ」
すらすらっと説明すると、邦彦は何も反論の余地がなかったのか、黙り込んでしまった。
もっとも、最初から反論する余地を与えようとしていないので当然ではあるが。
と、思った矢先、邦彦は何かを思い出したような顔をすると。
「確かにこの映像は証拠にはならないかもしれんが、なにも証拠はこれだけではない!それにお前たちが口裏を合わせているということだってありうるはずだ。ならば我々の正当性を主張しても文句はあるまい」
「主張するなと言ってないけど、主張したところで君たちが勝てるわけないでしょ」
「ふん。……いつまでそのような態度でいられるんだろうねぇ。この写真をみてもまだ主張するというのか?」
そういって差し出された写真は。
「コレは……俺、と誰か女性が1人一緒に歩いているときのやつか」
「そうだ。政信、お前はこの写真から見れば分かるように、そこのちとせ以外の女性とも頻繁に出かけているようだな」
この写真が偽造であるということは一目瞭然ではあったが、すぐにネタばらししてもつまらないので、そのまま話に乗る。
「見覚えがまったくないんだけど」
「そうか。政信は自分のことすら忘れてしまうようなお馬鹿さんなんだな。ついでに言い逃れできないように他の写真も見せてやるよ。ほら」
そう言って机の上にぶちまけた大量の写真のなかで、すべてのものが明らかに偽造だった。
さすがにまたも抑えきれないほどの怒りを感じたのと、いい加減疲れてきたのもあり。
俺はさっさとバラしていくことに決めた。
「おい邦彦、この写真たち偽造だろ」
「は?何を言っているんだ?……さてはお前、自分が本当は浮気してたことバレたくないのか?」
「いや、全くそうじゃない。だってそもそも俺は邦彦みたいに浮気しようとか考えられないんだから。それと、この写真達の明らかにおかしい点も見つけたし、ついでに俺に浮気する暇がないってことを証拠と証言を全部お見せしたいんだがいいか?」
完全勝利を目前に控え、静かにではあるがテンションが上っていく俺であった。
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次回
武弥と彩希が活躍します!
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