第27話 復讐という名の地獄落とし その後

 翌日。

 朝の教室は大変な騒ぎだった。


「政信、君と一緒に来ていた子はだれだ?千春さんではないよな」

「おはよう武弥、今日ならちとせとだよ」


 その一言にどよめく教室。

 そりゃそうだ、いきなり伊達メガネなどをすべてやめて黒髪ストレートでスタイルも一切隠さなくなったのだから。

 その姿といったら千春を超える。

 あくまでちとせは別のクラスだが、俺が別れたばかりなのにいきなり美少女と一緒に来ていたがためにあっという間に噂が広まった。


「はあ、政信は女たらしなのか?」

「全く。だいたい今回の件で信用できなくなったし、一生独身のつもり」


 俺のそのセリフに何故か落胆する女子たち。

 そしてその感情はなぜか、


「やはり高山さんのせいね」

「そうね、やっぱり千春さんは許してはならないわ」


 千春への憎悪に早変わり。


 と、そこにガラガラと扉を開けて飛び込んでくるなり、


「タケ君、おっは〜!」


 と言いながら後ろから武弥に飛びつく者がひとり。

 彼の幼馴染で彼女の彩希である。

 

「おはよう、彩希。今日はどうしたの?」

「いや、千春の件を聞こうと思って」

「だったらちとせさんに聞けばいいんじゃないの?」

「それがね、タケ君、ちとせちゃんったら全然話してくれないの!だから政信くんなら話してくれるはずだと思ってね」


 なぜに俺が話さなきゃならないのだ。

 しかもなにげにベタベタくっついてるし、空間がちょっと甘いんだが。

 ただ逆に、話さない理由もない。

 周りも一斉に耳を澄ませだしたので、この際語ることにする。


「昨日の話し合いの結果、千春と邦彦はここを自主退学して遠くの田舎にある千春のお父さんの会社の事務所に飛ばされて住み込みで働くことになった。ただし千春は1年ほどこっちで暮らすことになって、その間はうちに来ることになったって感じ」

「なんで千春がこっちに居るの?」

「それがさ、邦彦との間に子供こさえやがってたんだよ。あいつらこの間の偽デートで盛大に仲違いして今にも別れようという雰囲気だったけど、今後はずっと二人一緒に暮らしてもらうし、何より子供に罪はないからね。こっちで産むまで親が責任を持って面倒を見るって」


 その話に流石に引いてしまう皆さん。


「政信、おまえ別れて正解だったな。ただ世の中殆どはそんなクズじゃないぞ」


 武弥のそのセリフに思わず反論する。


「確かに頭の中ではわかってるよ。でもね、またあんなふうに裏切られないとは限らないでしょ?それが怖くてもう独身でいいや、って思っちゃって。というかそもそも女性を信じるのが無理かもしれない。彩希さんとちとせくらいかな?」

「なぜに彩希?」

「そりゃ武弥の彼女だし、武弥に一途だし、他の人の告白ことごとく冷たく断って説教してるし、あとはなんだろ…、まあともかく信用するに値するってことだ。だからといって目の前でいちゃつかれるとどうも腹立つんだけど」

「そっか、なら良かったよ」


 うんうんと無言でうなずく武弥。


「まあ千春が悪いってのは知ってたけど、こうやってちゃんと決着をつけられてよかったな」 


 全くそのとおりだ。

 ちょっと補足すると、結局あの配信はあっという間に全世界に広まり、今やどこへ行ってもクズっぷりが知られているという状況。

 もはや今後の人生でまともに生きていくすべはない状態。

 こうして俺とちとせの復讐劇は大成功という形で幕を閉じた。




//////////////////////////////////////////////////////////////////


 1章はここまでです。

 次回からは2章ですね。

 多分ここからが無茶苦茶長くなりそう……(笑)


 この先で一旦投稿が停止するかもしれませんがご協力をお願いします。

 仮に停止しても、9月の頭には再開します。


/////////////////////////////////////////////////////////////////

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る