第18話 超高層ホテルと恋敵 その1

 結局。


「お土産買えてよかったね〜」

「あはは……、思ったより早く降りてきちゃったからね……」


 バスの中で、買ったお土産の整理をしていた。


 あのあと、めちゃくちゃはしゃいだせいか、二人揃って疲れてしまい、ちとせと肩を組んでなんとか降りてきたところ。


 すでに一通り回っていたこともあり、バスの中で待つことも考えたが、まだ30分以上あることを受け、俺達はフラフラとお土産物屋に吸い込まれていった。


 ホテルの売店がどのくらいお土産を取り扱っているかわからないので、いろいろ買っていく。


 家に持って帰るもの、部活へのお土産にするもの、お互いの両親に持っていく手土産、そして忘れちゃいけない4人で部屋で食べる用のお菓子と飲み物。


 結構たくさん買ってしまったので。


 このためだけに持ってきた畳んでコンパクトにできる保冷バッグなども活用して詰め直していく。

 幸いなことに、大きな荷物の方はでっかいキャリーケースだし、お土産用スペースが半分ほどある上、旅行中に消費するものもそこそこあるから容量は不安ではないが。


 大きな荷物の方はホテルへ直接宅配便で送られてるし、帰りも家に送り返すので、消費期限や賞味期限が近いものはすべて手持ちで持って変える必要があるものの、そこは慣れてるから平気である。


 バスの中で詰め直しをしているうちに発車時刻になり、ホテルへ向けて動き出す。

 シートベルトは着用した上で詰め直しをしているので問題なかった。


 京阪石山坂本線の線路沿いに出ると、湖西線の側まで並走する。

 当たり前だが普通の平日なので、駅のホームには同じ制服を着た、ちょうど下校途中なんだろうなと思わしき高校生がたくさんいた。

 その中に混じっている、他の制服を着た集団にやたら見覚えがあり。


「ちとせ、あれってもしかして――」

「ん〜、ほぼ間違いなくあそこのじゃないかな?」


 そこまで言ったところで、バスが信号により停車。

 すると、立っていた子達と目が合う。


「やっぱりな。目黒さんたちだ」

「ホントだ〜!窓開けるね」


 言うが早いか窓を開け。


「お〜い、目黒ちゃ〜ん!」

「やっぱり高山先輩でしたか〜!」

「そうだよ〜!政信もいるよ〜!」


 仕方ないので、ちとせの隣から顔と手を出す。


「信号で止まってるだけだからな〜」

「わかりました〜!じゃあまた明日〜!」

「ん、また明日〜!……?明日?」


 さらっと言われた言葉に首を傾げ、問いただそうとしたものの。


 ちょうど信号が変わってしまい、聞き返すことができなかった。


「ちとせ、今明日って言ってなかった?」

「さあ?なんのこと?」


 ちとせに聞いてみるも、はぐらかされてしまう。

 なんとなく嫌な予感がしつつ、ホテルへ向かうのだった。

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