第9話 出産前の最終決戦 Side政信&ちとせ Part2
お義母さんとの電話を切り、コメント欄を覗いて見えた、期待の数々に思わず苦笑する。
「なんで俺、こんなに何回も元カノに反撃されてんだろ?向こうが悪いんだし、自業自得だと思うんだけどね」
「まーくん、あれの頭の中が理解できるようだったら怖いよ?」
「そうだよな。……今度こそ痛い目にあわせてやらないと本当にまずいかな?」
「痛い目?とりあえず肘と膝の関節全部外せばいい?」
「そうだな。なんなら腕の1本や2本折ったって……って違うわ!絶対ダメだろ!」
「え〜、でもそのくらいやんないとまたやってくるよ?」
「二度と俺たちに反抗出来ないようにしてやればいいんじゃないか?」
「そっか……、足と手縛り上げて爪か皮膚はがす?もちろん全部はやらないけど」
「それもダメでしょ!拷問系からは1回離れて考えて、お願いだから。……警察沙汰にはなりたくないからさ」
「むぅ〜〜」
「可愛く口尖らせてもダメなものはダメです」
「少しくらいやらせてくれたっていいじゃん、ケチ」
「ケチだとォ?流石に許容できる範囲超えてるの自覚して、お願いだから」
拗ねてる姿も可愛いのだが、いかんせん言っていることが事である。
案の定、俺達のこのやり取りに視聴者の皆さんも驚いたようで。
『色々すげぇな、それ』
『まーくん、ちーさんを怒らせないように気をつけてくださいね!』
「怒らせないから!」
「ふふっ。大真面目に視聴者さんと張り合うまーくんが可愛い」
「おい、なにか反論しようと思わないのか?」
「んー、でも普通に考えたらちょっとやりすぎっていうのは自覚してるし」
「ちょっとじゃないから。とてもだから」
「そう?」
「自覚しろ!」
そんなやり取りをしているうちに、スイッター上への、元カノ達による投稿がストップする。
そこから5分くらい待ってみたが、一向に何も追加が来ないことを確認し、少しいつもより早いが配信を終わらせることにする。
「まだ時間に余裕はあるんですけど、諸事情により今日はこの辺までにします。次の配信は来週かな?もしかしたらその前に緊急配信があるかもです!それではまた次の機会にお会いしましょう!」
配信を切ったのを確認し、すぐにお義母さんに電話を掛ける。
『もしもし?』
「もしもし。そちらはどうですか?」
『うーん、微妙なところかな?とりあえず投稿出来ないように制限はかけたけど、他がね……』
「やはり口を割らないですよね……」
『それよりも、先にあなた達のほうが大事よ』
思わぬ話に驚きつつ、これは大事な話だと感じ、スピーカーモードに切り替える。
「ママ、大事な話って?」
『確かに今は止めたし、1つ残らず削除した。けど、もうすでに引用ツイートが広まり始めてる。少なからずいるアンチの絶好の餌になっちゃったのよ』
「ということは、早期対策をしないと炎上する可能性もあるということですよね?」
『そうね。…なにかいい方法はないかしらね……』
「やっていいなら裁判ですけど」
『裁判ね……まあ私達が縁を切ればいいだけか。いいわよ、でもちとせ、本当にそれでいい?』
「もちろん。裁判でフルボッコにしてやるわ。……でもその前に私達だけで1回潰してから裁判したいな。そのほうが楽しいもん」
『楽しいってあなたねぇ……。まあいっか、私もそんな感じだったし』
「いやお義母さんまで何やってるんですか……」
『その話は置いておいて。大喧嘩するとしていつやるの?』
「来週の配信のときっていうのはどうでしょう?」
『何回配信するの?』
「いや、こういうやつも求めてくれてるみたいなのでまたやろうかと思うのですけど」
『そう。……私達の方でも聞き出せる限り聞き出しておくわ。じゃあ頑張ってね』
今度こそ決着をつける。
二度と反抗してこないように。
最終決戦まで、あと7日。
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