第3話 修学旅行事前準備-1 その3

 言いたいことは山程存在するが、まずは超重要問題からである。


「武弥、今の呼び方はなんだ、今のは」

「今のって、何いってんの?クラス中で呼び名が話し合われた結果だけど?」

「……ちとせ、知ってたか?」

「全く?彩希ちゃんは?」

「私は知ってるよ?だってちとせちゃんが帰った後に話してたんだから」

「そうか。で、どうしてそうなった?」

「だってお前らカップルっていうレベルじゃねぇもん。若い新婚夫婦じゃねぇか。甘すぎるわ。もしくは熟年夫婦か?」

「他にどんな案が出たんだ?」

「おしどり夫婦、新婚夫婦、熟年夫婦」

「ことごとく夫婦じゃねぇか!まだ17だぞ!」

「それがどうしたのさ。そのくらい甘すぎるってことだよ。自覚しろ」

「確かに廊下に死体の山が築かれているけどさ、それって彩希さんとか、他のクラスメイトじゃないのか?」

「もっと頭を使え。なんで女子まで死体になってると思ってんの。大体、俺達だったら付き合いだしたのだいぶ前だし、この時期に付き合いだしたのお前らだけだからな?本来は文化祭だからな、普通。そのくらい理解しろ」

「ねぇ、彩希ちゃん、私達そんなにいちゃついてる?」

「え、ちとせちゃんも自覚無し?あのね、私達の認識だと赤ちゃん連れてきて、2人の子供って言われても納得しちゃうっていうか多分そうなると思ってるからね?」


 彩希さんの発言に、顔を合わせるなり、2人揃って顔が真っ赤に染まる。

 そのままちとせは、ものすごい勢いで振り返ると。


「彩希ちゃん!恥ずかしいからやめてよ。それに、まだそんなんじゃないし」

「「”まだ”?」」

「っ!」

「ねえねえちとせちゃん、”まだ”ってことは将来はそういうことなのかな?」

「あの……その……、ほしい……な……」

「「「「きゃぁぁ!」」」」

「やかましい!その話今いらんだろ!」

「まあまあそういう事言わないで、政信くん。……で、ちとせちゃんはああ言ってるけど?どうなの?将来は?」


 周囲にいつの間にか集まっていた女子たちが一斉に歓声を上げ、さらに俺まで巻き込まれた。

 もうどうしようもない。

 逃げ道はない、ならもう腹をくくるしか無い。

 すぅっと深呼吸を一つして。


「考えている。というか、なんなら両親公認だし。あと、最近『別に大学入試さえ受けられれば、子供育ててもいいからね?』とか言われてるし、さりげなく催促されてるし。……じゃないと下の兄弟姉妹が増えていきそうだからな」


「「「「「嘘でしょ?」」」」」


 ドガン!


「授業中だぞ、お前ら!そういうのは休み時間にしろ!」


 先生が怒鳴ったことによりようやく落ち着いたが。


「ねぇねぇ、両親公認で急かされているってどういうこと?」

「おい政信、端折ったところをきちんと説明しろ」


 武弥と彩希に迫られ、渋々思い出す。

 地味に恥ずかしいあの日を。


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 1回回想挟みます。


 ところで、最近やたらと存在感が薄いどこかの誰かさんがいますね……(ニヤァ)




 おしらせ


 近況ノートの方で、他の2作品の登場キャラも出てくるSSを投稿しました。

 こちらはサポーター限定となっております。予めご了承ください。

 なおこちらは「ポッキーの日記念SS」となっております。

 日付が過ぎていることは触れないでください。


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