第7話 復讐という名の地獄落とし 前編 3-3
冷ややかに姉を見下ろし睨みつけるちとせ。
一気に体育館の中の空気が冷え込んだのが分かる。
それをものともせず、それまでじっと睨みつけていたちとせが口を開く。
「千春。あんたが政信と付き合ってんのに、私の邦彦と浮気した挙げ句、こっちが浮気したことにしようとしてんのも、あんたが私と政信が浮気したという証拠を捏造しようとしてんのも知ってるの。なのに今のセリフは何?殺されたいわけ?」
「妹のくせに生意気なのよ。所詮ただの妹なんだから黙ってなさいよ」
「喋るな。おまえはもう私の姉じゃないし血縁者でもない。私の前から消え失せろ」
ちとせの毒舌にオロオロする千春。
周りの
「え、千春ちゃんてそんなやつだったの?」
「しかも邦彦もかよ。あいつら浮気してそれを政信とちとせちゃんに押し付けようとするとか、人間としてオワってんな」
「マジ信じらんないね。千春ちゃんとは縁切ろうかな?」
うんうん、いい感じの雰囲気になってるぞ。
仕方ない、ここで追い打ちをかけてあげるか。
「千春。貴様は最低最悪のクズだ。ちとせのほうがよっぽどいい娘だよ。おまえ、いつもちとせのこと見下してたけど、貴様のほうがよっぽど下の存在だよ。」
「だからなによ。せいぜい学校内に広まるくらいでしょ。そんなの、どうってことないんだから」
「やはり貴様はバカだな。俺は容赦しないと決めたらありとあらゆる手を用いる人間だぞ。現に今もこうしてるしな」
そういって、自分のスマホの画面を出す。
そこに写っているのは、千春と邦彦への非難のコメントで溢れかえっている生配信画面だった。
それを見た千春は一気に青ざめ、近くに転がっていた邦彦とともに一言も発さなくなった。
「貴様とは絶交だ、千春。もちろんおじさん達にも全部話しておく。」
そういって、邦彦に目をやる。
「邦彦、人の彼女と浮気した挙げ句、人に責任を押し付けて、制裁という嘘の大義名分で殴ってくるようなやつを親友と言っていたとか恥ずかしいわ。お前とも縁を切る。お前は赤の他人だ。それから金輪際ちとせに関わるな」
そう言い切ると、
「ちとせ、行くぞ。」
ちとせに声をかけ、体育館を後にした。
後には呆然とした千春と邦彦、そしてこのわずか15分の出来事に驚く多数の生徒が残された。
翌日、千春は欠席していた。
邦彦はただの欠席ではないらしい。
教室の中には千春と邦彦への罵詈雑言が飛び交っていた。
そんななか、HRの30分前だというのに担任の先生がやってきて。
「井野、いるか?ちょっと話があるんだ、来てくれるか?」
「あ、はい、分かりました。何かありましたか?」
「昨日のことでちょっとな。高山は来てるか?」
「どっちの高山ですか?」
「ちとせのほうだ。」
「なら来てるはずですよ。もっとも、隣のクラスですけど」
「ならいい。とりあえず、4階の会議室に行ってくれ」
そうして俺とちとせは、朝から学年主任及び校長と話すことになった。
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前編はここまでです。
学校外での復讐は後編で。
後編の前に千春の事情が入ります。
追伸
復讐編が終わった後、二人に千春達に見せつけるためにデートのフリをする予定です(要するにイチャイチャデートですね)。
デート案を大募集中です(例:遊園地デート)。
案がある方はコメントに書いていただけると助かります。
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