第19話 遊園地デートはクソくらえ(Side千春)

今回は、前回までの偽デート編の千春サイドのお話です。


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 ムカつく。

 無茶苦茶頭にくる。

 

 朝の電車内からそう。

 ことあるごとにベタベタくっついてイチャイチャしやがって。

 バカップルなんてレベルじゃない。

 もはやおしどり夫婦だ。

 だいたい、あの政信の態度は何なのだろうか。

 彼女に寄り添って一緒に話して決めて。

 さり気なくつまづきそうなところなどでサポートして。

 まさに私の理想の彼氏そのものだった。

 こんなことなら別れなきゃよかったかも知れない。

 

 邦彦のほうが良いと思ったけど、実際のところは政信のほうが良いかも知れない。

 さり気なくちとせの欲しそうなもの買っていて。

 その上邦彦よりもかなり頭が良くて。


 そんな風に思ってると言うのにも関わらず。


「うわ、あいつら演技下手くそだな」

「あれで仲良しカップル演じてる気になれるとか」


 ご機嫌取りのつもりなのか、嘘を並べ立てる邦彦。

 絶対に政信のほうが良かったはず。


 そもそもあんないい男とちとせ如きが付き合える時点でおかしいのだ。

 政信のことだ、謝れば許してくれるはず。

 それで政信とやり直せば良いんだ。

 邦彦となんて別れてしまえばいいんだ。

 それにあんなにイチャイチャしやがるやつは別れさせたほうがいいに決まっている。


 そう決めた私は、帰りに邦彦に別れを切り出すことに決めた。


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 帰り道。

 ちとせ達が家に入ったのを確認して、邦彦の方に振り返る。


「邦彦、話があるの」

「急に何だよ、千春」

「あたし達さ、もう別れよ?」

「は?何急に言い出してんの?」

「だってやっぱり邦彦よりも政信のほうがいいもん」


 次の瞬間、呆れと怒りが混ざった顔でこっちを見る邦彦。


「何言ってんの?そっちが先に俺と付き合うって言ってきたんだろ。だいたい、最初にこの計画立てたのもお前だし。何、逃げようっていうわけ?」


 この自己中心クソ男が。

 別れ告げられたら大人しく別れればいいのよ。


「あんたとはもう付き合えないって言ってんの!とにかくさようなら。あなたとはもう別れるから」


 そう宣言して、踵を返して走る。

 後ろから、


「おい、ちょっと待てよ!千春ったら!」


 って呼び止める声が聞こえたけど無視する。

 別れを切り出されても別れられないやつは人間のゴミだ。

 私はちとせになんか負けない。

 明日何があるのか知らないけど、絶対に政信を落として見せる。

 絶対にちとせなんか地獄の底に落としてやるんだから。


 父が用意してくれたホテルに向かいながら、私はそう決意した。




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 次回は邦彦視点です。


 ざまぁ好きとバカップル好きはぜひレビュー&コメントよろしくお願いします。


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