第22話 最終戦 その6
もう1個の方。
それは、この話し合いが行われる原因となった、ネット世界を舞台にした事件のことである。
ちょうど1週間前にあったあの事件。
当然、アンチや週刊誌がこぞって取り上げたが、今までのイチャイチャ歴を公表し、写真を取られたとされる時期に行われた数々を公表。
さらに、たくさんの方の目撃もあり(登録者数百万人を超えていて、顔出しもしているというのにも関わらずに何も隠れることなく堂々と週末になるたびに出かけ、普段の電車の中とかも平気でイチャイチャしていたからである)、あっという間に叩かれ、わずか数日で下火になった。
特に、アンチへの攻撃は凄まじいものがあり、全個人情報がさらされるという事態に。
それにいち早く気づいたちとせに言われ、慌てて阻止に入ったものだ。
つまり、いくらここで負けようと、真実は知られているわけだが(そもそも真実が嘘に負けるはずがないのだが)。
そういう意味でも、俺たちはかなりリラックスしていた。
一方の向こう側はと言うと、何がなんでもこの場で倒してやろうとでも思っているのか、めちゃくちゃ気合が入っていらっしゃった。
その気合たるや、ずっと体が震えているほど。
武弥と彩希さんに関しては、俺たちが放つ殺気にやられたのか、結構怯えている。
そしてその隣で見る親たちは。
「やっぱりまだまだね」
「そうね。……ホントはしたくないけれど、きちんと全部伝授しようかしら?」
「うーん、なんとも言えないけど、今後必要になるかもしれないし伝授してもいいんじゃない?」
俺たちの責めが酷評されていた。
そんな一同をぐるりと見渡し。
「それじゃあ始めようか」
「そうね、そろそろ始めましょ?早く終わらせたいし」
冷酷に言い放つちとせ。
「じゃあ聞くけど、俺たちが浮気していて、お前たちは浮気してないってどういうことかな?」
「言ってるそのままのとおりよ。私達はあんたたちに浮気されたの。この子をお腹に残して、ね?」
「ほう。じゃあその子は俺の子だといいたいのか」
「そう言ってるじゃない」
「じゃあ遺伝子検査をしようか」
「は?何言ってるの?生まれる前はできないでしょ?」
千春のおバカ加減にいい加減呆れてくる俺。
「おまえバカなの?ああバカだったか。遺伝子検査は生まれる前でもできるんだよ」
「へ?」
サァーっと顔が真っ青になる千春。
「いい加減俺に托卵させようとするの飽きてんだよ!だいたいお前ら自分の置かれている状況に危機感はないのか?ここまで来てもまだ嘘つくとか、いい加減にしろ!」
怒りの余り思わず怒鳴りつけ。
ちとせが額を抑えてしまった。
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