第13話 出産前の最終決戦 Before-1

 日付は変わって木曜日。


 今日の井野家は大変賑わっていた。

 父、母、義父、義母。

 そして俺とちとせ。

 プラス、母のお腹の中の妹。


 妹と判明したのは昨日のこと。

 検診に行って帰ってきた母が大喜びで何言い出すのかと思ったら。


「政信、ちとせちゃん、女の子だって」

「そこはお父さんに先に報告するべきじゃないのか?」

「とっくに報告済みよ。だからあなた達にも、ね?」

「それを今言う?状況考えてよ」


 確かにリビングで2人で話し合ってはいたが。

 宿題、とかではなく、土曜日の復讐法についてである。


「いいじゃない、誰かに言いたいんだから」

「3日間くらい我慢してくれよ!」

「はいはい」


 とまあこんなやり取りがあったのだった。


 で今日。


 総勢7名が集まり、何の話が始まるのかと思いきや。


「全く、なんで富士急行ってから付き合うまでが長いのかしらね?」

「だって愛依の娘ちゃんだもの。旦那さんに告るまでどんだけかかってたと思ってるの?娘のこと言えないんじゃない?」

「それは無しだってば」

「あはは、ごめんね」


 愛依というのはお義母さんの名前である。

 うちの両親とちとせの両親は、同級生なだけあってか、滅茶苦茶仲が良い。

 それは今までも散々見せられてきたが、今日はこの4人組の恐ろしさを改めて知らされることになる。


 この4人組は中学校時代からずっと一緒だったらしく、とっても恐れられていたんだとか。


 そんな4人が集まって始めたのは。


『交際開始記念パーティー』


「…………」

「……ママ、今日って嬉しい話をする日じゃないよね?」

「そうだったかしら?でも嬉しい話もないと世の中行きていくの辛いわよ?」

「そういう問題かな……?」

「ちとせ、絶対にそういう問題じゃないから」

「だよね!」


 親(主に母2人)の謎テンションについていけない俺たち。


「だってやっと2人が付き合ったんだもの、少しはお祝いしないとね?」

「……いつから分かってたの?」

「何の?」

「私が政信が好きだってこと!」

「富士急行くときの反応見れば分かるわよ。……逆になんで政信くんが気付かないのかが不思議なくらいにね」

「その説はすみませんでした……」

「いいのよ、最終的にちゃんとお付き合いしてるんだから」

「ありがとうございます……?」


 と、お義母さんと話していると。


「むぅ、ママばっかじゃなくて私とお話しようよ」

「大丈夫よ、べつに政信くんを取って食ったりしないわよ」

「怪しいんだもん」

「……嫉妬するちとせが滅茶苦茶可愛い……」


 思わずぽろりとこぼれた俺のセリフに、顔を赤面させるちとせと、それにつられて赤くなる俺。


 と、そこに父が入ってきて。


「ま、話はどっちもそこまでにして、まずは食事にしようか」


 ひとまず皆で食卓を囲むことになった。




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 あくまで復讐準備回なので、食事シーン全カットです。


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