第25話 リハビリ中のイチャイチャ禁止なんて法律はない その3

 結局あの後、集中できないまま勉強を続け。

 あっという間におやつの時間になったので。


「ごめんね、押してもらって」

「いいのいいの。政信と一緒にいられるんだもん、こんなに幸せなことはないよ」

「そっか。ところで今日はどうする?中庭に行く?」

「中庭でいいんじゃない?今日は天気も良いし、気温はそこまで高くないし」


 おやつを抱えて車椅子に座り、それをちとせに押してもらっていた。

 別に自分で漕げないことはないのだが、いかんせんまだ腕の力がそんなに無く、腕がもたないので、押してもらってるのだ。


 この病院には中庭があり、木々が程よく生い茂る心地よい空間になっている。

 さらにベンチもあるので、ちょっとした散歩にもってこいなのだ。

 と、中庭に入ったところでよく見知った人影を見つけ、すぐにちとせに振り返る。


「ちとせ、なんで今日はあそこに武弥達がいるんだ?」

「そういえば今朝彩希ちゃんが『今日武弥と行くね!』って送ってきてたよ?」

「ちょっと待て、なんでそれを言わないの?」

「だってサプライズにならないじゃん」

「バカップルのイチャつきを見ることのどこが嬉しいサプライズなのかさっぱりわからないんだけど!?」

「それを参考にしてもっといちゃつけばいいだけだもん!」


 ふんす、と自信満々に言い切るちとせ。

 確かにそうかもしれないが、あの熟年夫婦感満載の2人を見るとか、耐えられん。

 だが来てしまったのは仕方ないし、休日に来てくれたんだしと思い直し、気づかなかったかのように進んでいく。

 ベンチに近づいたところで。


「ようおふたりさん、こんなとこで何してんの?」

「何ってお前のお見舞いに来たんだよ。時間が合ったから彩希と一緒に来たんだ」

「ちとせちゃんに連絡したらいいよって言ってたし、ね?」

 

 そういうとしれっと目を合わせて2人の世界に入っていく武弥と彩希さん。

 その手は小指を絡めており、幸せオーラがまとわれている。


「人にイチャイチャを見せつけるために来たんだったら早く帰れ」

「「そういうわけじゃないし!」」

「「どこがだよ!」」


 どう考えてもイチャついてるようにしか見えないのだが、どうやら本人たち曰くイチャついてないようだ。

 なんだかよく分からないが、武弥の隣に座る。

 そして俺の隣にちとせが座り、4人で並んで座る。

 ちとせと手を絡めつつ、しばし日向ぼっこを堪能する。

 目を閉じて上向きでぐでっと体を崩しているとなんとも言えない心地よさが広がる。

 しばらく堪能していると。

 

「政信、そろそろおやつ食べない?せっかくいいとこに来たし」

「そっか、もうそんな時間だもんな。せっかくだし4人で食べるか」

「ちとせちゃんも政信くんもいい考え!私は賛成!」

「俺も賛成だな。あまり過度なイチャイチャがないならいいぞ」

「心外だな、武弥。俺達はそんなに過度なイチャイチャとかしてないぞ?むしろお前たちに比べりゃおとなしめだと思うけど」


 その言葉に苦笑いする3人であった。




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 自覚なしって怖いね〜

 これはもう死者が出そうな勢いだな(死因:激甘空間に居た事による糖尿病)


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