第3話:東京国

東京国中央区に於いて「秋葉王」は言う。

「今こそ戦いの時である。群衆は皆、我に続け」

多くの前に出て一言を放つのであった。

しかし多くは自信に満ち溢れずにいた。戦争である。それは過酷。

誰も進んでやろうとは思わない。特にこの関東を中心とする東京国の周りには千葉国、栃木国、神奈川国など実力過多の勢力を持つ国家が多すぎた。

東京国は人口こそは多いものの、「スキル」を開花したものはわずかである。

だがしかし、外交だけでは既に食料や土地に人口が追い付かず、まさに東京国は戦えるものが少ない、「少子高齢化」となっている。

それを早い段階で止めなければいけない。秋葉王は焦る。

税制もままならぬこの状況下では、外交は既に困難であったのだ。

相手国の王を倒し、我が領土を広げる。古の「統治乱戦記」にはそう記されていたことを王は知っていた。大衆の記憶は無くなれど、王とその一部の人間には記憶は残っていると。


その頃、金成は東京国の中心街に戻ってきていた。

相変わらずのIT革命ぶりには驚かされている。この間、車が空を飛ぶテクノロジーが開発されたと思いきや、もう電車までもが空を飛ぶ時代なのか。

魔法の絨毯で買い物に出かける主婦も目に浮かぶ。それらは皆、東京国が開発した科学ならざる、「魔法の一種」であった。

チャージに多くのエネルギーが投じられ、その魔法という力は他国にも交渉にしばしば用いられることは多かったのだ。


「魔法・・・か」

金成はぽつりとこぼした。

「どうかしたのか?」

渋谷は言う。金成は空を見上げていた。

「最初に使う能力としては魔法がいいかな。エネルギーは消耗しやすいかもしれないけど、よくクエスト系のゲームで宿屋に止まればMPが復活するというのを見たことがある」

「おいおい、ここはゲームの世界かよ。よく考えてみろ、そんな燃費いいものでもないんだぜ」

渋谷は苦笑いした。金成は少し気になった。

「そういえば渋谷の能力はなんだ?」

「ああ、俺か。俺の能力は炎。火を出すことにより、それを自在に操ることが出来るんだぜ」

ポケットからライターを手に出し、着火した。その瞬間、手のひらを火元に合わせ、それを自在に操り、『渋谷』と炎の文字を金成に見せた。

「へ~、炎を操るのか。しかしわざわざライターを使わなければ火は出せないのか?」

金成は顎に指を置きながら首を傾げ、疑問に思う。

「いや~、もちろん炎は出そうと思えば出せるよ。でもさっきも言っただろ?魔法を使えば燃費が悪いってな。だからこうやって大元は別の道具を活用して、魔力は最小限に抑えるんだよ」

「あ~、なるほどね」左手のひらに右こぶしをポンと置き、納得した。

炎の能力か、なんだかいずれ火や水、雷など操れたら漫画の世界のような超人的戦士になれそうだなと感じた。

「よし、渋谷。最初の実験だ。その能力俺にも分けてくれよ」

「え~、俺のオリジナル能力だぜ?てかお前俺の望み叶えてくれるんかよ」

「いいぜ、何でも言ってみな。そしたらその能力を俺にも分けてもらうからよ」

渋谷はにやりと笑った。

「俺の望みはズバリ、あそこのバードカフェにある!」

「ほほう、それでそれで?」

2人は渋谷の言うバードカフェに行った。

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