第154話:凡事徹底

 当たり前のことを当たり前のように行うが、それを誰にも真似できないこと。それを凡事徹底と人は呼んだ。

「会って間もないやつが猿真似して打破できるほど甘くはないぞ」

 金成からするとそう豪語したくもなる。しかし現状としては王最強の盾と呼ばれた男である以上、そう簡単にはいかないわけである。

 相手の最も苦手な相手は自分自身、それに加えて陰陽師の力を使い、古代種を呼び寄せたり魔術を使うことも可能というわけである。

 一筋縄でいかないのが王最強の盾の特徴であった。

「要は相手に見えなければ能力が奪われることもないというわけだな」


スキルマスター発動:ナイトメア


 黒い靄が突然放たれた。

昴流は立ち止まった。

「やつめ、何をする気だ?」

 究極の両目がある以上、どこから手を打ってこようとも瞬時に反応できる。たとえ突然背後に現れようとも、カウンターを入れることが可能だ。

 金成はペンと紙を手に持っていた。

暗闇の中である動作をしていたのだ。そしてそれをファイヤーで燃やし、ナイトメアを解除した。

「成程な、意外な弱点があるものだな。それを狙うしかあるまい」


 誰にでも失敗はある。

新年早々お盆で下半身を隠す芸が失敗するも好感度が下がることが無いように、それはそれで世間から注目される話題にもなりえることは十分にある。

「相手の瞬発力にせよ、ここはおそらく相手は俺のすべてを知り尽くしているわけではないと考えるのが道理だ」

 金成はライジングサンダーを再び稼働させた。


スキルマスター発動:アルティメットアイズ


 目には目を、というわけだ。

「楽しいレクイエム、奏でよう」

 スキル豊富な金成のキャラを余程気に入ったのか、昴流は他のものにイリュージョンはしたりはしなかった。

 昴流の変身能力自体にもかなりのインターバルが生じそうだが、金成のスキルマスターにも少しのインターバルが生じる。

 そこを狙うわけである。

「日本社会に於いて、情報の操作が既に行われていることに気がかりはないか?」

 金成は昴流に問うた。

「ほう、誰が操作していると?」

「王国政府だ。政治家を使って特にな」

「何故そんなことが言い切れる?」

「俺は以前マスコミに取材を受けたことがある。ある資格試験の時だ」

「?」

「俺は努力をした。確かにその時は。しかしその後は努力をしていない、そう、ほんの30分程度頑張ったくらい。しかし俺は高有段者として取材に取り上げられた。そこに至るまでどのようなご努力をされたのか?とそう、きかれた。それに対して俺はなんと答えたと思う?」

「知らんな」

「俺はこう答えた。1日3時間以上の努力が必要です、と。それは嘘の情報だ。本当は30分しかしていない、しかし教師という立場のある人間はどうしても新聞記者などのマスコミを前にすると話を盛らなければいけない性格があるらしい。金成君、30分でその資格は一般人に習得はできない。というか、まずそんな簡易的なものではないだろうと言い、マスコミにはこれだけ努力したと伝えてほしいとそういった。こんなおかしなことはあると思うか?」

「何が言いたい?」

「自持思想論~2つの世界によるとこの世で通知簿を2つ受け取った男も存在するという。それだけにこの情報操作はおかしいともされてきた。理想と現実が一致しておらず、現実から目を背けている。そして存在しない架空の人物が歴史で取り上げられたりしている。上層部がそれを捻じ曲げ、学校教育に加担する。こんな大規模な宗教団体みたことがあるか?それだけにこの王国制度は既に日本社会に於いて秩序を保たれていない。少子高齢化と言われながらも、政府は何を対策した?株価を吊り上げるノーマルなでっちあげ作戦と無償化をすすめる作業。しかしそれはただの表舞台だけの活躍で、実際にはお前達がやったのはただの若者に対するカツアゲだ。増税と言う名のカツアゲをな」

「話はそれまでだ。ならばお前が証明してみろ。俺に勝てばそれだけでいい」

「勝てば官軍負ければ賊軍だろ?この世は弱肉強食、自然の摂理には敵わない。つまり俺がお前に勝たなければ、それも実現できない。そういうことだな」

「ペンは剣より強し。それもいいことだろう、だがそれは強者のみが語るべくことであり、敗者は所詮死体にクチナシと同様。たとえ正しい議論や方法を以てしても、それがインフルエンサーされなければ何の意味もなさない。まさに灰のようだ」

「吐いて捨てるような台詞にはもう聞き飽きた。一気にケリをつける」

 金成は電光石火する。それに対し、昴流も応対した。


 年明けに行われるこの戦いに、誰もが今頃家庭ではおせち料理で家族や親戚一同と賑わう。この文化にもやや陰りが存在し、近年ではピザを食べる家庭も増えてきているされていた。

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