第136話:ケーキ理論
クリスマスケーキ理論とは女性の年齢が24歳が一番人気があり、そして25歳はまだ大丈夫としても26歳以降確実に価値が無くなってしまうことであった。
クリスマスケーキは24日に食べられるが25日に食べる人も多く、しかし同じ25日でも夜8時以降を境に見切り販売される。そして26日には20%オフ、27日には40%オフ、28日には賞味期限が来て販売できず、30日には消費期限、これに関してはもはや「オマケ」だから無料でも引き取って~という感じである。
そして年齢35歳を過ぎるとこれは小売業でいう「廃棄処分」となる。ゴミ回収車が持っていくかのように、これは本当に残酷だが現実に起きている世界。
30歳が一番熟れているとかいう口だけの将来性のない男が口に出している言葉を鵜呑みにして20代は満喫している東京国の女性陣はいざ30歳を迎えてそろそろ結婚だな!と考えて婚活パーティーに参加するも、ほとんど自分より若い女性に狙い撃ちされて、男に相手にされることが無かった。
いや全くないわけではない。正確には自分より10歳年上には相手にされる。つまり40代男性であった。溜息をつくばかりであった。
年越しそば理論などと晩婚化がすすんでいるなどとごまかそうとする輩もいるが、ハッキリ言って生物学上、メスの生殖器には適齢年数が存在する。それを無視することができればこの売れ残り戦からの脱却も出来るが、それが出来なければただのATMかセックスレスでずるずると人生を引きずるかしかないのである。
時間は無尽蔵にはわかず、光と影の世界ではこれが非常に残酷だ。教育ローン問題しかり、住宅ローンや奨学金制度の見直しだけでなく、若者に希望がないということで今「希望の塔」が立ち上がろうとしている。
しかし希望の塔も全ての戦士を受け入れるわけではない。当然選りすぐりの力を持つ者がしっかりと入らなければ、足手まといはごめん被るからである。
敵もそれなりに化け物である以上は、此方も怪物で挑むしかないのである。
「戦いが終わったら積み立てNISAでも始めようかな」
ぽつりと美姫がつぶやく。
「最近それよくトピックスで見るな」
阿修羅も同感していた。
「まあ消費、貯蓄、投資の3点はどうしても人間が生活していく中では必須項目だからな。それでも投資は怖いと言っている人が多いようだ」
金成も積み立てNISAについては賛成だ。少しでも資金を市場に投資することは将来に向けてはいいことであるからだ。
「パチンコ行く人こそ、ETFはすべきだな」
そう呟く。
だが実際にはそうはならない。それが今の東京国の現状だ。
「しかしこの人物は一体誰なんだ?金成」
「まあ行けば分かるさ」
目黒に皆ついていく。
深い山奥であった。
農家が多く、田畑が広がっている。東京国の都市部から離れた位置にある。東京国はほとんどが都市だが、大穴牟遅の住んでいたところ同様、多少の森林は携わっているようだ。
「この家にいるみたいだな」
「まあ久々に会うことにはなるな」
金成が扉を開けた。
「おじゃましまーす」
「ん?何だお前は?」
白髪の男が出てきた。
「よお武藤のおっさん、久々だな!」
「何故俺のことを知っている?」
「俺だよ俺、忘れたのか?ほら国会議事堂で牢獄からおっさんを救出した金成だよ。まああの時は4人いたかな」
「おお!金成か、見違えたぞ!久しぶりだな、てか何で俺がここにいると分かったんだ?王直属の戦士ですらも気づかない場所だったのによ」
「まあそれはこの付き添いの男の力のおかげかな」
目黒が会釈をした。
そして後ろには阿修羅と美姫がいて、武藤と目が合った。
「あんたらは…」
「まさか国会議事堂の魔物と呼ばれし男がこんなところにいたとは…どうりで探しても見つからないわけだ。しかも金成、君がこの人物を脱獄させていたなんて」
阿修羅は驚愕であった。
「まあ中々いいおっさんだったからよ。おかげで今でもグラヴィティは愛用しているんだぜ」
「まああがりな。せっかくの客人だ。もてなすぜ」
5人は上がった。
「何か用があってきたんだろ?」
「単刀直入に言うと、おっさんに仲間になってほしい」
「ほお、お前仲間は多くなかったか?」
「全員殺された。秋葉王の手によって」
「そうか、そいつは悲しいことを聞いちまったな。すまねえ」
「いいんだ、敵は討つ。おっさんとの約束もあるしな。太郎の掲げた夢、俺が王になることで統べるよ」
「ああ、なら俺はしっかりとお前のサポートをしなければいけないな。勿論仲間にはなる、だが今はすぐにはなれねえ。やることがまだあるんでな」
「やること?」
「ああ、俺は脱獄してからずっとここに住んで田畑を耕している。せめてもの罪滅ぼしでな。ある程度農作が済んだら一緒にいくとしよう」
「助かるよ」
「だが俺みたいなやつがいて戦力になるかな?」
「おっさんはかつて魔物と呼ばれていただろ。それにこのグラヴィティを使ってて思ったんだが、かなり色々と応用が効く。おっさんももしかしたら使いこなしたら技の伝授者だからもっとすごいもの思いつくかもしれないと思ってな」
「はは、定年間近の男に投資なんかしてもただ枯れ落ちるだけかもしれんぞ?」
「年齢は関係ない。フライドチキンの創業者は60歳超えてからと言われている。人間なんでも本気を出してやれば、目標に近づくってものだ」
「相変わらず面白い小僧だ。まあせっかく俺がついていくんなら、ちょっとした情報も渡してやらないといけないな。集合場所を聞いておく。また近々其方に出向くとしよう」
「ああ、頼んだぜ」
金成は武藤と久々の再開を果たし、その場を離れた。
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