第137話:秋葉王⑧

 王国では不穏な動きが目立っていないかの模索を既に行っていた。

盗撮は相変わらず無くならない。最近の人はこう言う。スカートの中もそうだが、どちらかというと太ももにそそられると。視えたらラッキー程度にしか撮影はしないらしい。あからさまにスマホを差し込むような輩がいるが、既にそれは逮捕される。問題は足フェチの皆さんであった。しかしこれも度が過ぎれば捕まるが、これはなかなか気づかれにくいのである。

 モロ視えは逆にガックリくるのが最近のなんJ民達の悲鳴というわけである。


「執事君、皆を集合させよ」

「かしこまりました」

 執事が会釈をし、すぐに衛兵に伝令を出した。

王直属の戦士並びに王最強の盾がそれぞれ招集された。

 夜叉、天馬、天照、月読、卑弥呼、牟田、入道、昴流が揃った。

「なんか随分兵士が少なくなったな?何でだ」

 秋葉王は問いかける。いつもは阿修羅がこれについて答えるが、今は敵側に寝返っているのである。

「自分の力に限界を感じたのではないだろうか?」

 そう答えるのは天照であった。

「というと?」

「美姫も既に裏切ったと考えていいでしょう。連日AI人工知能ロボットを検索したところ細切れに切り裂かれていました。ベランダには紙吹雪の破片が、あれは美姫の仕業とみて間違いないだろうと考えます」

「つまり賊側についたと申すのだな」

「さようでございます」

「何か不満を煽る者が多いとでもいうのか」

「滅相も御座いません」

「データの改ざんが目立つな。企業に於いて不審な出来事は信頼に傷つく」

「早急に改善をしなければいけないと思います」

「早急にな」

「あとそれと、天馬。お前は残れ」

「御意」

 他のものは皆解散した。


「天馬よ、俺の望みは分かっているな?」

「例の小僧を探し出して八つ裂きに」

「その通りだ。反逆は死刑に値する」

「まだ情報が得られていません」

「行動するとしたら、次の手はだいたい読みが当たる。おそらく人集め、仲間を集い俺の前に現れる。それがシナリオ」

「次はどういったゲームをお考えに?」

「とくには思いつかぬ。ハイ&ローのチラシを配ったところでお客様が来ることなく、ただただ安売りだけを狙い撃ちしにくるバーゲンハンターしか来なくなるだけである。それならばいっそEDLP政策に思い切って転換したほうがまだ一定の客数を見込め、さらにはデータの波も落ち着くものである」

「以前は敵を騙すにはまず味方からですが、本当に敵を騙すにはまずは敵からという国王の趣向は大変お気に召されたものと存じます。次に私からの提案としましては悪人が正義のヒーローというのはいかがでしょうか?」

「勝てば官軍、負ければ賊軍というわけだな」

「さようでございます」

「釣針には大きな餌をつけておけ。それで釣れた魚はでかいほどやりがいがある」

「心得させていただきます」

 天馬は王室から外へ出た。


「いかがなものですか王様。あやつは」

「まあ少しは考えが足りぬが、取るに足らんや否や。まあせいぜい楽しませてもらいたいものであるな」

「先日面接に来た者たちですが」

「どうだった?」

「1次選考で皆死にました」

「やはり突破できぬものが多いというわけだな」

「なんせあれではAランク以上はないと皆死にますよ」

「それでよい、Bランク以下などいてもたってもいられんよ。豚を養うだけのエサなど持ち得てはおらぬ」


 どうやら天候が悪化したようである。

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