第135話:結婚話
「このままじゃ結婚できないかもしれないな~」
ふと溜息をつく。結婚できないと検索するだけでだいたいは「男側」に結婚の意欲がないと出るようだ。
反論もある。しかし、残念ながら事実そういったものであった。これは非常に残念な結果である。
しかし実際に婚活をはじめてみたら意外と女性側にその意志がないように思える。
「気になる人が出来たのでお話しをこれにて終了します」とごめんなさいをされて掲示板が閉じてしまうが、その後その女性はどうなったのかテラスなどを確認するわけだが、一向に休会する気配もないようだ。
いや、これはストーキングとはまた別物だが、とにかくその後どうなったのか気にかけているだけであると、あえてここで弁解するとしよう。
結局アドバイザーさんにお金を出してコメントを貰い、さらには多額の金額を出してテラスに自身の写真を載せたりしているのであった。
「結婚はタイミングというけれども、これは本当なのか?」
金成は素朴な疑問を美姫にぶつけてみた。
「結婚は確かにタイミングが重要ね、でも焦って早めても未来はどうなるか分からない。たとえ未来が読めていても、何が起きるかなんて、そして未来はいくらでも自分で変えられる。そんな感覚ね」
現在バツイチというわけではない美姫。前の男にやり逃げされてしまい、今の乙姫が生まれた。一生一人で育てていくと決意し、腕を磨き、王直属の戦士十戒の一人へと昇り詰めたそうだ。
「あんたまだ高校生でしょ?もう結婚について興味持っているの?」
「まあ早すぎるかもしれないけど、将来性については考えておきたいものであるからいちおう知っておきたい」
「いい心がけね。まあ実際に婚活しにいけば分かるわ。否が応でも30代から40代の男性多いから。勿論女性もその年齢層が多いでしょうね、婚期を逃したか。再婚が目的か、勿論出会いを求めてね」
実際には結婚をする気がない女性が多いのも事実であった。婚活をしているだけあって非常に悲しい現実だ。しかしそれは男性も勿論一緒であるが、本当に本気を出すのはおそらく30代を超えてからだろう。20代の女性は会うだけ会って、1度きりの顔合わせで縁を切ってくる。こんな状態でこの日本国全体の出生率が上がるのかどうかと言われるとこれはもはや不可能な話だ。
婚活の場であっても相手を選ぶようなしぐさをしているようでは、自分が何をしに婚活パーティーに参加しているのももはや目的を見失っている。
いい相手がいないから、そんな理屈は通用しない。時間だけがただ過ぎ去っていく。
もしそうしたいのであれば、自分の分身を作るべきではないかと金成は考えるのだ。もしオリジナルの自分が婚活中でも、例えば分身の中で「株取引」や「経営マンション」、もしくは「印税」などを行っておけば、遊んでいる間にお金が溜まっていくからだ。
お金の流れを作ってやりたいことをやる、そうすれば自分がその場にいなくても勝手に取引が成立し、約定も貰える。
そんなことにも気づかず、副業と言いつつ、昼は会社員で夜はファミレスかスナックで働く。自分の身体だけが資本と考えている日本人が多すぎるというのだ。
自分の身体だけでなく、もっと他の「モノ」にも意識を向けるべきなのである。
そうしないから今の「ゆとり世代」はいつまでたっても手取り15万の生活とサービス残業もしくは残業超過のブラック企業からの脱却を果たせず、結婚にも意欲が持てず、お金と時間だけをただただ浪費してしまっているのだ。
1日24時間という資産は誰もが持っている。誰かに搾取されている生活をしているようではいつまで経っても這い上がれない。いかに時間とお金の有効活用が出来るかでその人の一生涯の人生が大きく変わるというものであった。
金成はそれを理解していた。だからこそ、今の「アキバミクス」は物価目標2%など到底超えれず、経済成長率の進捗が悪いことを理解し、ゆとり世代にはゆとり世代の成功法則が存在することを理解し、今立ち上がろうとしていた。
「殺気…?」
阿修羅が上空を見渡した。
「まずい、伏せろ」
5人は一斉に伏せた。突然銃が乱射した。
思い切り壁に銃弾がのめり込む。
「どこから攻撃してきてやがる」
「おそらく高層マンションの一角、30階辺りから自動で乱射できる銃を整備しているようだ」
「何で俺達を正確に狙い撃ちできたんだ?」
「おそらくAI人工知能ロボットの顔認証システムが反応したのだろう」
「なら早く対応しなければ、このままじゃばれちまうな」
「全く持ってその通りだ」
「撃ち落としたいがちょっと距離があるな」
金成のスキルの中にも超遠距離攻撃というものは備わっていなかった。
「テレポートしたくても、あの距離では足場がなくたどり着けないな」
「わしのオオクニヌシノカミではビルそのものを破壊しかねん。ここで騒ぎを甚大に起こすわけにもいかんしな」
「なら私に任せな」
美姫が立ち上がり、扇子を出した。
「サウザントスプリング!舞い散れ、桜吹雪」
扇子に乗せた桜吹雪が刃と変わり、一気に高層ビルのマンション一角の乱射銃を粉々に粉砕し、カメラも切り刻んでいった。
「どんなもんよ」
「すげえ攻撃だな、範囲がかなり広いんだな」
「まあ大勢を相手にする場合はこの技で十分よ」
「やっぱ王直属の戦士が味方につくと頼もしい限りだぜ」
目黒についていきながら一行は次なる仲間探しをしていた。
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