第164話:断捨離

「何故あんなことを今頃思い出すかね?」

 入道は空を見ながら横たわっていた。

「母親が15の時に俺を産み、父親は他所へ行き、そのままギャンブルと薬中毒で自殺。母親も別の男と一緒に住み、内縁の男に殺されかけた。熱したフライパンを俺の身体に押し付け、皮膚が壊死し、今もそれが疼く。普通の人生なんてもう到底送れない。誰でもいいから殺したいと感じてた中坊の時代が懐かしいな」

 入道が起き上がった。

「どんな理由であれ、俺とて譲れないんだよ。ましてやこんな餓鬼に負けたとなると王に顔向けできねえ。とにかく俺は破壊を楽しみたい、全てを破壊し、俺から奪ったものを返してもらう」

 入道がダッシュし、一気に金成に詰め寄った。

「いくらでも再生してろ。その再生が続かなくなるまで破壊し続けてやるよ」

 金成の頭を掴み、頭蓋骨をへし折った。だが金成は再生し続けた。

「王の為にやってるんじゃねえ!俺自身のためにやってる!」

「なら俺も同じだ。こんな世界に興味がない。俺を必要としてくれる世界、それをただ築くだけだ」

 アリストテレスで入道を弾き飛ばした。

「損得より善悪、時間は巻き戻らないぜ。とにかく俺は損切りしてでももう一度金の入る流れを作って見せる。マイナスが怖いんじゃない、金を動かせないのが怖いんだ」

「ならば俺は仮想通貨の暴落を引き金にし、個人投資家から養分を吸い取るマンモスファンドにでもなってやるよ」

「無理して背伸びしてもろくな人生は歩めねえぞ」

「もう遅いんだよ全てが。俺はもう止まらねえ!」

 ブレイク、全てを破壊し続けていく。


「全て世は事もなし」

 金成がテレポートした。

上空に位置した。


ファイヤー&グラヴィティ合技「メテオ」


 隕石が入道を襲う。

それを素手で破壊し続ける入道。


スキルマスター発動:テレポート


 金成が入道の正面に現れ、草薙剣で入道の心臓を貫いた。

「ごほっ」

「何故破壊できないって顔だな。これは素戔嗚の八岐大蛇も混ぜた十拳の剣。それにどんだけ強力な能力でも使いすぎればバッテリーが減るのと同じく効力が落ちていくぜ。過信が原因だな、仲間をもっと信頼し、協力しあうことこそがチェーンストアの強み、ランチェスター戦略の一環だぜ」

「へっ。勉強になったぜ。あの世で活用するとでもするかな」

 入道がそのまま倒れ込んだ。

王最強の盾3名VS応対も時は金成の戦いは彼ら金成達の勝利となった。

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