第167話:リスク

「リスクを分散するのに卵を一つの籠に盛るな、とよくトレーダーは言う」

「妥当な判断だと思うぜ。もしその銘柄が下落したら資金も一気にショートする」

「だが、多くの籠にもりつけまくっても駄目だ。地震が来れば全てが倒壊するかのようにな。日経平均株価が大幅下落すれば、ほとんどの銘柄は値を下げる」

「元々株取引なんてものは急騰か暴落か、上がるか下がるかの二つに一つだから、みんなハイリスク・ハイリターンでやるもんだろ?」

「それじゃ俺の考えるローリスク・ハイリターンは実現できない」

「どうすると?」

「株で稼いだ金だけで稼ぐ」

「しかし、そのためには金額が大きく必要だろう?」

「ああ、1,000万円で取引するなとは言わない。しかしその1,000万円はどうやって調達した金額?何年分の貯金?それを考える。仮に1,000万円で取引するなら、それがもし10年分の貯金だとすると10年全てを失うことになるわけだ。だがこの時に100万円なら1年分、1年ぐらいタダ働きすればいいじゃないかとなる。つまり100万円を200万円にしたら、即効で100万円銀行にうつす。残りの100万円で再度取引をする。そしてまた200万円になればまた100万円で取引をする。それを繰り返し1,000万円を貯め込めばいい」

「いや~暴落もあるし、そう簡単にはいかないんじゃないか」

「勿論な。だが時間を制する者はお金をも制する。時は金なり」

 金成は生徒会とそういった会話をしていた。


「猿も木から落ちる」

「ん?」

「久々だな、阿修羅」

 夜叉が目の前に現れ、いきなり雷速で阿修羅を襲う。

「飛んだか」

 阿修羅はテレポートした。

「まあいい、お前ら、こいつらと遊んでおけ」

 AI人工知能ロボ、そして自衛隊が大勢かけつけ、阿修羅目掛けて発砲する。

「ちっ、防戦一方か」

 阿修羅は避け続ける。その間に夜叉は移動していく。

「お前らの居場所ぐらいわかってんだよ金成」

 そう呟きながら夜叉は雷速で移動続けた。

「つきがなければ、何をやってもうまくいかないとはこのことか」

 大穴牟遅は天を煽った。

「兵力に勝る兵力で挑むとは、愚かよのう」

 オオクニヌシノカミを使い、目の前の敵を翻弄する。

阿修羅はひたすら的を外し、瞬間移動で逃げては機会を伺い、攻撃に徹する。

 秋葉王はとにかく休ませてはくれなかった。小売業が安売りを続け、どんどん赤字になろうとも、ひたすら客数を寄せ集める。それは所謂近隣の競合店が苦しんでいる証拠であるから、とにかく自分たちが苦しいときは相手はもっと苦しい。体力勝負・忍耐勝負というわけである。

 相手の息の根を止めるまでは此方も肉を切らせて骨を断つという戦略だ。

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