第70話:サラリーマンショック
サラリーマン・ショックとは「サラリーマンが物価上昇などを理由に一気に紙幣価値が失われた状態を見て、今まで資金を銀行などに貯金していたものを無意味に感じ取ってショック状態を起し、将来に見通しを無くし絶望の淵に立たされてしまったこと」と世間で騒がれた。
金成は東京銀行へと向かった。
既に何百人ものサラリーマン達が銀行のドアを叩く。警察隊も既に出動しており、各地で暴動が起きている。
「金返せー」
そんな声が飛び交う。金成は一目散で屋上まで駆け上がった。
阿修羅のテレポーテーションを使えば一瞬で移動出来てしまうのでかなり便利である。ただし空が飛べるわけではないので、そこは重力を加味して使用しなければ骨折や打撲などに影響が出てしまうわけである。
扉をけ破り中に侵入する。
住居侵入罪にならなければいいが、そうは言ってはいられなかったのだ。
「総裁とやらはどこにいるんだ?」
駆け巡っていった。近くに防犯カメラなどがうつっていったが、超高速の為、うつっているかどうかは半信半疑である。
既にライジングサンダーに切り替えて、猛スピードである。
職員と思わしき人物が1人歩いていた。
手には書類を持っている。金成は近づいた。
「ちょっとお尋ねしたい」
「何だ君は?」
「俺は弁護士」
「は?」
2人の間に沈黙が過る。
金成はちらっと名札を確認した。
「斎藤さんですね」
「そうだが?」
スキルマスター発動:テレポーテーション
金成は一旦姿を消した。
斎藤の頭の中では「?」が過る。
スキルマスター発動:ライジングサンダー
スキルマスター連携:デスティニー
斎藤の運命を占った。約1時間程先の未来についてだ。
内容を確認し、再度テレポートを行い、斎藤の前に姿を現した。
「いや失礼。実は稟議書持ってきたんですよ。これこれ」
斎藤に紙を手渡す。
「何で君がこんな書類を?」
「いや、ですから総裁さんに頼まれたんですよ。私は今弁護士で向かっているんですよ」
「・・・」
疑われているが、しかしこの内容を用紙1枚から斎藤は読み解いている。
怪しいが、何故社内事情を知っているのかが謎の為、思考回路が上手く働かないのである。
「総裁は・・・今は誰も近づくことができない」
「何故です?」
「彼のスキルの前では拘束されてしまうからですよ」
「ほう、どんなスキルです?」
「あまり知られていない。しかしかなりの拘束力だ。社員は皆捕まってしまった」
「それで何かしらの対策を打って稟議書を?」
「何せ今は・・・サラリーマンショックが起きてしまっている。外には顧客が何万人と押し寄せてきている。どう考えても逃げようがない状態だ。国王からの指示とはいえ、何を考えているのやら」
国家の存亡の危機にこそ、革命が起きるものである。金成はそれを逆手にとって何かを企んでいるのか?と考えた。
「まあいずれにせよその総裁の居場所を教えてほしい」
「既に社員は何名か捕まっているんで君も弁護士か何か知らないが、やめておいた方がいいぞ」
「まあ大丈夫ですよ」
「そうかい、5階の金庫室だ」
「ありがとうさん」
金成はダッシュで向かっていった。
敵の拘束力というのが気になる点であるが、どういった能力を使ってくるんだろう?そこに疑問が置かれている。
金庫室に近づいた。中から声が聞こえてくる。
「しかし国王陛下、バズーカー使ったはいいけど、今後歴史的な問題として浮上しますよ。これじゃ国債不足や紙幣価値低迷による信頼ゼロもいいとこですよ」
「ええ。いちおう社員たちは皆口封じに拘束しましたよ」
どうやら電話しているようだ。相手は秋葉王だろうか?
金成は疑問に思いつつも、様子見だ。
スキルマスター発動:アルティメットアイズ
究極の両目に於いては先読みが出来る。もし相手が拘束する力があればこれで回避する戦法だ。
「サラリーマンショックか。まあしかしここまで膨れ上がってしまった借金の弁済に於いてはもうこの手しかないよね」
白髪に眼鏡をかけた年配のスーツ姿の男性だ。
奴が総裁ということでいいだろうか?まあ確認すればいいか、ということである。
「動くな」
「え?」
スーツの男が振り返る。
「今の話はどういうことだ?秋葉王が絡んでいるのか?」
「さあねえ?」
「一気にハイパーインフレ状態でサラリーマン達が皆ショックを受けているぞ。これはどういう状況なんだ?」
「さあねえ?」
「答えろ!」
「うーん、そうだなあ」
後ろを振り向く。
金成はしっかりと両目で先を見据えた。
すると、2秒後に何かを投げ飛ばし、自身の体を拘束される姿を見た。
スキルマスター連携:テレポーテーション
一瞬で移動した。すると何かが先程まで自分の体があったところにぶつかった。
「何!?」
男はびっくりした面持ちだ。
「何か投げ飛ばしたのか?」
金成は疑問を描く。
総裁との戦いが今始まろうとしている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます