第100話:内乱

 東区に位置する「国会議事堂」に所属していた政治家達も、今となっては東京国中央区に拠点をうつしている。

 多くの貴族がここに住まわり、多くの人々が賑わった。「ひっかけ橋」と呼ばれるところに於いては多くの観光客を魅了するスポットであるのと同時に、ここではアンケートやナンパなど徘徊する輩も多い。

 深夜となりて、人気はほとんど少なくはなる。しかし、いかにも刺繍をつけた団体など通りがかり、いくつかのシマを抱える縄張りも存在していた。

 そこを素通りしていく東高校の生徒達であった。

マンモス高校故、大人数での行進はもはや隠れる気もないと言わんばかり。隊列を組んで、一斉にバラバラと散っていく。作戦通り、校長教頭を中心に生徒会、そして金成や渋谷、原宿、池袋といったメンバーが先頭に立ち、戦いを挑んでいくのであった。

「居城にに近づくにつれて、多くの警察隊や兵隊を相手にしなければならない。中央区の警察は全て税金で雇われている。東区と違って、飯を食うためなら何でもする連中だ。道を阻むなら容赦なく相手せよ。だが、相手は拳銃を持っているから注意しろ」

 風紀委員の靖国が指揮を取る。次いで水谷が後方を担当し、隊列を組んで、挑んだ。

「明らかな内乱だ。これはもう、国家転覆を計る一大イベントだ」

「人の情けは世の情けだ」

 二人組の名もなきテンプレな生徒2人であった。

「ひゃほぉお」

 スケボーに乗りながら一気に降下し、警察隊に突入した。

ナイフを次々と刺し、警察隊を斬りつけた。

 だが、警察隊も防備はかなり上で、防弾チョッキまではさすがに貫くことはできない。武器も手持ちはナイフ30本が限界で、後は奪って戦うのみであった。

 多くが体育会系の達人とまではいかないが、何かしらの武の極みであった。相撲、空手、剣道、柔道、ボクシングなどわんさかいたのであった。

 激しい迫撃となり、多くの警察隊よりむしろ遠方からの攻撃により、生徒は頭を打ち抜かれて死んでいく。それでも行進は止まらない。今日だけで多くの生徒と警察隊が命を落とすだろう。

 まさに命がけの「デスゲーム」であった。国家を変える為にはもう、多くの犠牲を払うしかない。でなければ、一生もがき苦しむ人生でしかないのだ。

 多くの貴族は避難をしているが、それでも多くの生徒が家宅侵入し、放火を続けたりと目立つ行動を取った。

 多くの警察隊などを引き寄せ、挙句の果てには深夜の暗い中でも正確無二に当ててくるAI人工知能ロボットの出現である。マシンガンなども搭載しており、1体につき100人の生徒が死亡するぐらいの威力を持ちうる。

「グレネードにマシンガンか。最悪だな」

 テンプレな男がぼやき、バズーカーを取り出した。

「うちのじいちゃん~元衛兵~♪」

 歌を歌いながら、そのまま発射。ロボットに命中し、大破した。

「うほほ~い」

 陽気にしているのもつかの間、その5秒後には一気に20体のロボットが出現。

「まじ?」

 その男はその場で370発の弾丸を喰らい、即死となった。

「命ってそんなに軽いものなのかな?まるで羽のようだ」

 そうぼやくのは数学の先生であった。

「命はね、一人一つなんだよね。心臓も一人一つ。だから大事に持たなきゃいけない。心も体も一つ。たった一つなんだ。でもね、数字はたくさんあるんだよ。1と1足したら2にもなるし、掛けると1にもなるし、割るのも1になるし」

 大きな三角定規を持っている。よく黒板などで先生が使ったりしていて、休み時間で遊んだりするあの大きな定規だ。

「俺の定規はなんでも切れる!」

 圧倒的身体力で次々とロボット兵を切り刻む。その度に爆発が起きた。

「すべてのものは因数分解~」

 先生が突入しまくり、生徒達は後へ続く。これはもうまるで魔王を討伐にいく、農民革命のようなものだ。ようは王を倒せばいいのだ。しかし人間の命を果たしてゲーム感覚のように使っていいのかどうか疑問である。

 だが、このまま指をくわえて黙っていても出生が100万人を切っている以上、高齢者の奴隷になるだけか、政治家達の無駄なばらまきの餌食になるだけである。

 だったら、若者はただ「憲法9条反対」や「基地の撤退」など行進してる暇があれば行動にうつせというわけである。

 既に生徒たちは行動に出ているわけである。将来を、東京国の未来を目指して。

「科学実験大好き~」

 理科の先生も登場した。次々と硫酸を発生させ、相手を動けなくする。生徒達は解毒済みの為、ガスの充満にも対応できるようにしている。

「戦争は既に始まっている。これは…人類滅亡を奪還する儀礼だ」


 自持思想論第3小節「椅子取りゲーム」に下記のことが記されている。


小学生の頃にクラス全員で行ったゲーム

負ければ椅子に座れない、勝てばその椅子は守られる

しかし誰もがその椅子を狙っている以上気を緩めることはできない

椅子を取られることは人生において死を意味するだろう


小学生時代で行うこのゲームでよく見かける光景は

一つの椅子に二人で座る子供

先生の言うことを聞かず椅子から立とうとしない子供

競争を知らないものに果たして椅子取りゲームの重要さが分かるのだろうか

椅子の量は既に決まっている

誰よりも先に奪い合うだけ

しかしどうも最近の日本人は危機感が無さ過ぎる

自分にもちゃんと年と共にその椅子が回ってくると思っている

そんなものは残念ながら保障されていない

椅子は譲られるものではなく奪うもの

だから椅子取りゲームという名前がついたのだ


 金成の持つ祖父の書物だ。既に全員が危機を感じている。王から椅子を取るべくして自由の生活を奪還するために今全員が動き出した。

 だが、あまりにも敵も強すぎる。

「さて、参りましたな~、居城より500m手前まで来ましたが、ここにきてBランク囚人達のお出ましか」

 過去に犯罪を犯したであろう囚人を利用してきているわけである。実力は折り紙付き。かつて国会議事堂の地下深くに収容された「武藤」と同じような実力者達が多くの生徒達の前を阻んだ。

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