第166話:囮

「この世の万物、真理とはいかがなものか?」

 ココアを片手に王は執事に問う。

「真理とは人間の極限状態に求め得るものでしょうか?」

「まあそれもいい、だが俺は今の生活に満足している。これからもだ。勿論変革も欲しい、だが全てが思い通りになることが一番理想。苦痛なく」

「おっしゃる通りでございまする。そのアキバミクスがあれば、すべては王の手の中に。どんな強靭な肉体や知識、権力を持つ人間が雇用とも『洗脳』してしまえば、王は何も努力をせずとも、その者の力を手に入れたも同然というわけでして」

「ああ、だからこそだ。相手から能力をコピーする?奪う?気に食わないね」

「王様、ちょっと失礼。それは俺に言ってるんすか?」

 王直属の戦士夜叉が物申した。

「まあそうだな、だがお前のスタイルは好きだ。殺して金品を奪うような姿勢、まるで強盗のようだ。その能力にリスクはあるのかね?」

「ああ、あるよ。人の命を奪わなければ能力が増えない。その度に祈らないといけないな」

「祈る?誰に何を?」

「さあ?宗教?」

「ふむ、所詮人間の創りし賜物だ。俺の探求心には優雅な毎日しかない」

「んで、王様。どうやら王最強の盾3人全員殺されたようですぜ」

「ふむ、やはり相手は金成か?」

「そのようでして」

「俺自らがまた直接殺しに行くのもいいが、ここはやはり勇者たちがこの玉座に来るまで待つとしよう」

「来ないかもしれないぜ?俺が狩るから」

「お前では無理だろう。なんせ相手はSランク3人まとめてやったんだろ?」

「だが今なら相手の体力も消耗しきっている。つまりチャンスだ」

「どうだかな」

「まあとにかく俺は動くぜ」

「好きにせい」


「秋葉王様、あのような輩を動かしてもよいので?」

「まあいずれにせよ金成の能力も夜叉の能力も脅威だ。時間が経てば経つほど強くなる。ならば強くなる前に共倒れしてもらったほうが理想的ではないか?今日の友は明日の敵かもしれんしな。それが身内であれ、下剋上なんてことも無きにしも非ず」

「ふぉふぉふぉ。この城に近づく者ならお望み通り、この私が始末しますぞよ」

「全く頼りになるな、執事君よ」

 ココアを飲み終わった。

「さあ、戦慄を続けよう」


「阿修羅、思った通り、奴ら自動操縦でなぶり殺しに来たな」

「あの戦闘機、戦車は全てAI人工知能ロボットとみていいだろう。まず人は乗っていない」

「派手に行くぜ」

「ああ」

 大穴牟遅は炎の矢を放ち、次々と戦闘機に命中させる。

戦闘機のミサイルも強力で、一瞬にして高速道路の柱などを崩壊させ、次々と車は土砂に巻き込まれた如く、雪崩れていく。

 しかし阿修羅は瞬間移動で次々とそれを交わし、一気に戦車を宙に浮かせては叩き落し、次々と破壊し続けていく。

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