第148話:天照③

 「メモリーダスト」

 目黒が両手から霧を出す。過去の記憶を忘却させていく力である。

記憶の改ざん、彼の得意とする力である。

これにより魂の記憶というものを混沌させ、八十神は暴動を起し、収拾がつかない状態となる。

「さて、あちら側も終わったかな?」

 目黒がちらと金成を見た。

金成が天照を討っていた。

「ぐほおおお」

「終わりだな」

 金成はゆっくりと十束の剣を引き抜いた。

「素戔嗚と摩天楼からの伝言だ。地面を這いつくばれ」

 天照がそのまま倒れ込んだ。

「阿修羅、こっちは終わったぞ」

「ああ、後は月読だな」


スキルマスター発動:アルティメットアイズ


 金成は未来を視た。

「どういうことだ?」

「どうした?」

「八十神が解かれない、これは一体。まさか!」

「ん?」

 武藤が後ろを振り向いた。その直後であった。

月読が突然、重力に逆らい動いた。

「八十神」

 そのまま武藤の胸を突き、吹き飛ばす。

「ぐほぉ」

 武藤の肉体と魂が分離した。

「危ない危ない」

 月読が袴に就いた土埃を払い落としながら、そう言う。

「しまった、そういうことか」

 阿修羅が口を覆い、月読を見つめる。

「既に融合は済んでいたという訳か。ならあの天照は」

「ドッペルゲンガーだ」

 月読が突然、天照に変身した。

「なんだ、どういうことだ?」

「天照のスキル:ドッペルゲンガーは自身の分身体を創り出すとされている。今まで俺たちは本体ではなく、分身体と戦っていた」

「じゃあ最初から月読が天照ってわけなのか?」

「いやそうじゃない、月読という女も元々存在している。つまりこいつら途中から入れ替わり、いつの間にか融合していたんだ」

「融合?」

「伊弉諾伊弉冉と違い、天照と月読は融合することにより力を発揮する。この2人が融合するとSランク以上の実力になると噂される。つまりはAAAランクを相手にするのと同等であると考えるべきだ」

「おいおい、まじかよ」

「そしてあの2人が融合することにより生み出される能力が2つ、それも警戒しろ」

「なに?」


 天照が突然右腕を光らせ、術を発動する。

「ライトハンド:リヴァイアサン」

「レフトハンド:ポセイドン」

 大量の深海と突如現れし海の主に驚愕を隠せれない。

これが天照と月読の2人が合わさった潮の満ち引きに起こりし、満月の夜に城一つを陥落させた神の力。


スキルマスター発動:ウォーターフール


 天照のポセイドンの力に対抗し、水には水で対抗するが完全上位互換。相手の力の方が数段上で、波乗りをしようにも簡単に深海の渦に飲み込まれていく。

「がふがふ」

 大穴牟遅が溺れる。

阿修羅が合図を送る。

「摩天楼、エクソシストを送ってくれ」

 摩天楼は信号をキャッチし、皆を高台に移動させた。

「あっぶねえええ」

 目黒が口から水を吐きながら叫ぶ。武藤は意識を失ったままだ。


スキルマスター発動:ブロックチェーン


 金成が武藤の身体を視えない鎖で覆いかぶさった。

「どうした金成?」

「3秒後に武藤が起き上がり、俺達を襲う」

「ぐおおおお」

 武藤が起き上がったが、ブロックチェーンにより身動きが取れない。

「究極の両目は未来を見据える。やはり八十神によって魂を引き抜かれ、以前の摩天楼のような状態になってしまったか」

「元に戻すには早い段階で天照を堕とすしかない」

「今となっては月読と融合してしまっている、あいつはAAAランク、執事と同等レベルと考えるべきだ」

「いずれにせよ執事も秋葉王も倒さなきゃならない。こいつぐらい倒せずしてどうするというのだ」

 金成が下を見下ろす。

ポセイドンを使い、高台に乗り上げようとしているリヴァイアサンがいた。

「神話に出てくる海の主というのであれば、此方もそれに応じよう」


スキルマスター発動:ヤマタノオロチ


 8頭の竜を召喚する。

「相手は水の主。つまり、此方の炎は通じないというわけだろう」

「どうする気だ金成?」

「まあ見てな」

「いけ、リヴァイアサン」

 天照が命令を下す。

リヴァイアサンが金成達の高台を襲い掛かる。


ヤマタノオロチ&ライジングサンダー合技:雷鳴剣


 摩天楼から受け継いだ草薙剣に雷と炎を宿す。

「海の主を討つ」

 阿修羅が金成に触れ、テレポートさせた。

そして電光石火で超速で動く。

 次々とリヴァイアサンを切り刻んでいく。

水しぶきが血で赤く染まっていく。

「さすがだ、対処法が早すぎる」

 対応力の応用編が金成は機転を利かせることができるようになっていた。


 誰もしたくない応対は「クレーム応対」である。クレームは初期対応によって二次クレームを阻止することができる。事前にマニュアルを確認することも大事であるが、相手の状況を確認することが非常に重要である。相手の要求は何によるのか、クレーマーかどうかを見極める重要な境にもなる。現場での判断力もそうだが、それ以前に言葉と言葉のやりとりをしている間に「機転を利かせる」ことができるかどうかが、責任者の経験値によって大きく左右されることもある。クレーム応対が好きな人はいない、ただこれは大きなクレームに発展するものでないという機転を利かせることが出来るかがカギとなるのだ。

 初期消火の重要性を知ることが、その現場でのリーダーシップを大きく発揮することができるのだ。

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