第144話:天照と月読

 目黒と握手を交わし、金成は「サイコメトリー」の力を手に入れた。

「過去と未来を視れるものは最強だと俺は信じている」

 目黒はそう言って、金成に自身の能力を託した。

「すまない目黒、この力遠慮なく遣わさせてもらうぞ」

「支度が出来たらすぐに出発するぞ」

 阿修羅が先陣を切る。

「奇襲と言えど、誰かを詰めばすぐに敵側に知られる。隠密に行動を取らねばいけないぞ」

「スマートにやっていくのが手っ取り早いな」

 まるで他国から自国にトップを招き入れる時の細心の注意曚を潜り抜けての暗殺をするかのようであった。さぞかし満足のいくやり方を模索した中での、試行錯誤の末に辿り着く恩恵に近いものを感じたのだ。

 全員が首を据えて覚悟を挑み、この戦いに挑む。


「戦況は分からないが、今なら東が攻めやすい。盾は現在3人のはず。鳳凰の欠番を埋められているならば話は別だが、そう簡単に最強の盾を揃えることは困難だろう」

 東から進んでいった。

あたりには警察隊などが多く警備に入っている。

 オンラインゲームなどの攻城戦に於いても落城させるための秘訣はまず、周りに陣を取られていると悟らせ、王宮内の兵を一気に外におびき寄せ、手薄の王を取るというのが手っ取り早いだろうが、秋葉王はそれも既に策の内とみているに違いない。ならば、オンラインゲームとは違う、復活不可の攻略。1人の敵を大勢で取り囲み、一気に一人ずつ叩き伏せていく戦略でいくしかない。

 シンプルで誰もが思いつくような政策も、それを実際に実行しようとすることは困難である。何故ならどうしてもそこには人々の感情が突出し、コミュニケーションというものがうまく働かず、職場環境の悪化から減益へとつながることにもなりかねない状況であるからだ。

「尺をまとめるならバリアフリーが一番いいな」

「ちょっと何言ってるかわかんない」

 誰もが同じ目線で語り合える世界と言いたかったのかもしれない。


「敵発見」

「いきなりビンゴだな。天照と月読だ」

 阿修羅がターゲットを絞った。

「いいか、あいつの八十神は摩天楼も言うように魂を肉体から切り離し、霊人形として使う」

「触れられなければいいだろう」

 金成はスキルマスターを発動していた。

「一撃重いのを不意についてやるよ」

 では開戦だ。


 阿修羅が金成と武藤、大穴牟遅と目黒を飛ばした。

突如金成達が天照の前に現れ、一撃をくらわした。

「ぐほぉ」

 天照と月読が吹き飛ばされた。

「まずは先制パンチと言ったところだな」

 AI人工知能ロボが作動し、金成達を襲おうとする。

「サウザント・スプリング」

 物陰から援護射撃を美姫が追随する。

ロボは粉々に砕けていく。

「何だ貴様らは」

 警察隊が駆けつけてきた。

「ふん」

 武藤がグラヴィティをかけ、銃弾などを届かないようにさせ、尚且つ警察隊の膝を地面に付けさせる。

 逆方向にいる警察隊に目黒が銃で応戦する。

「少々派手に行くぞ」

 オオクニヌシノカミの紅蓮の弓矢が警察隊を焼き尽くしていく。

「周りの雑魚どもはこれで一ひねりだな」

「まあまだ油断はできねえけどな」

 天照が立ち上がる。

「貴公は確か我が王国に対する反逆軍だな。王の命により、貴公らを抹殺する」

 天照は口から血を吐き飛ばしながら、そう言った。

「渾身の一撃はどうだったよ?」

「なかなか良いパンチだった。だが次はやらぬ」

 天照が高速移動した。


スキルマスター発動:ライジングサンダー


 雷速で対応した。互いに鈍い音を出し、そしてお互いの地面に足跡を残す。

「貴公はもはや我が手中」

「あっそ」


スキルマスター発動:アリストテレス


 斥力により天照を吹き飛ばす。

「八十神は遣わさせねえよ」

「よい心構えだ」

 天照が大振りをする。

「国宝を見せてやろう」

 パチンと指を鳴らすと、突如巨大な城が地面から出没する。

「なんだ」

「あれが天照によって陥落させられたという世界遺産認定の姫路城か」

 鮮やかな白色、天守閣には3連休に於いては1時間待ちを要するぐらい人気の観光スポットとなる姫路城には巨大な井戸や鉄の門、そして多くの銃口が完備されている。

「我が八十神に於いてその死角はないと思え」

 天照はペンダントを取り出し、そこから何やら言霊を取り出した。

「油断するなよ金成。奴の魂のストックというやつだ。その数は文字通り80.今から霊体を80人斬りしなければいけないのが、この天照の試練というやつだ」

 阿修羅もテレポートで戦場に既に赴いていた。

「久しぶりだな阿修羅。やはりお前もグルだな。一緒に始末してくれよう」

「いくぞ!」


 王直属の戦士VS応対も時は金成の戦いが始まった。

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