第1話:日本47ヵ国
ここは日本。竜の形を彩る国。
かつては一つの国であり、47個の市町村が繁栄していた。
しかしいつしか人々との戦が止まず、ついにはこの世を創りし「神」が見定め、各市町村をそれぞれ47個の天空に聳え立つ壁にて遮った。
人々の争いの火種はそれで一時期は途絶えはした。
一時期の平和が訪れようとした、しかしその矢先に・・・。
また争いが始まる。
今度は地域彩る名産物や技術力、魔力、科学、知力、権力など多色に留まることを知らず、人々は成長していったのだ。
その壁もいつしか他国の境を潰えようとしたが、神は壁の中央に大きな茶褐色の鋼鉄の扉を創られた。いかなる兵器を用いてもその扉を壊すことは出来ず、その扉は1ヶ月に1回、月初めの1日のみ扉は一斉に消える。
その扉が消えし時、他国との外交が許される。かつては一つの国として栄えていたが、日本は今や47ヵ国と連なり、それぞれの国に「王」が存在した。
その王が定める日本統治には様々な力が宿る。
その国の王が新たな国を攻め落とし、王を討ったならば国は吸収合併され、人々の記憶からは境は消え、新たな国が生まれることを誰も知らない。
そうかつての一人の男、その名を「金成」。
彼こそはこの時空の狭間にて唯一、過去の記憶との干渉を許されし者であった。
テレビニュースを見ていた時であった。
金成今年「16歳」、出身地は「東京国」である。
日本国の中でも一番首都に近いぐらいの繁栄。人口も多く有する。
金成は高校に進学するも、不登校気味であった。
一言で言うならば「学校はつまらない」ということであった。
皆当たり前のように朝早くに行き、そこで勉強をして、部活、塾、そして家に帰ってゲームして寝る。それの繰り返しであった。
金成にとっては普通のゲームというものは面白くなかったのだ。
そんな時にニュースでは「大阪国」の浪速王が「京都国」の稲荷王を討ったとの報道を受けた。
その瞬間に人々の記憶からは「京都国」は消えた。元々大阪国と京都国は2つの国で、神が創られし壁により境が生じていたにも関わらず、王が討たれたことにより、国境の壁は魔法のごとく消え去り、人々の記憶からも消えた。あるのは吸収合併した一つの国「大阪国」だけであった。
しかし人も武力も財力も2倍近い軍事力を誇る彼らは当然のごとく、次の標的を決めていた。
次は「兵庫国」だ。あそこはかなりの兵力が揃っている。我が国にすれば彼らの持つ「力」が手に入る。
そう考え、大阪の王「浪速」はインタビューに答えていた。
人々が覚えているのはそれだけである。確かに国は2つ存在していた。しかしどういった国だったのかが記憶から無い。ただあるのは、大阪の王が勝ち、領土を広げたのだ。これはまるで「陣取り合戦」のよう。
各国の法律も上書きされるため、あたかも当たり前のような振る舞いが人々にはされていたのだ。疑問に思うものもいるが、何をもって正論をぶつけ、議論すればいいかすら分からない。なぜなら記憶という記憶が曖昧、これが神の御業というものか。魔法の力か。それすらも分からない。
あるとすればそう、相手国の「王」を討ち取るということである。
そうすれば領土も権力も財産も手に入るのだ。
各国では月に1回外交を交わすが、それを狙う王もまた存在することを恐れている。
24時間経てば扉は完全に国境を塞ぐ。その時は相手国に侵入している際は、何とかして1か月間を乗り切らなければいけない。
もしも敵兵に存在が気づかれてしまえば、終身刑もしくは死刑。それか情報ををその場で拷問に近いものを課せられ、吐かさせられる可能性も示唆されるのである。
そう、国盗りとはまさに命懸け。
しかし金成はそのニュースを見て、自分もそんなことをしてみたいとなぜか無性にニヤニヤしながら思っている。
「よし、いっちょ王を倒しに行くか」と。
しかし何の策もない。どうやっていけばいいというのだろうか?
相手国に侵入出来たとしてもやはりガードは堅い。
相手には当然の兵力が揃っており、魔力を使うものも存在するのではないか。
いずれにしても相手の力が分からない以上迂闊には近寄れない。
それが魔力だろうと科学だろうと忍術だろうと。相手を統べるにはまず自分の力を存分に使えるものにしなければいけないだろう。
そう考えて金成は決心した。
俺のスキルは「相手からいただける力を有する」この時に相手から奪うスキルハンターを目指すのではなく、スキルマスターを目指すことを決心したのであった。
これが日本統治乱戦の序章となるのであった。
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