第74話:副生徒会長
見晴らしもよく、花見観光客には絶好の場所ではあった。
しかしそこで今、戦が持ち込まれようとしている。
「金成、お前の本気というものを見せてみろ」
「本気と言われましてもねぇ」
「手加減すればお前を容赦なく殺す」
「怖いですね」
しかし副生徒会長は東高の中でもトップクラスの実力を持つと言われている。
相手にとっても不足なしと言ったところだ。
「先手はくれてやるよ」
「自信ありきですね。先輩」
金成が構えた。明治もそれに応える。
「なら遠慮なく」
金成が縮地法を構えた。一手で間合いを詰める。
「蒼天流奥義:逆鱗」
蒼いオーラが麒麟の形を催し、間合いを開けながらも一定の中距離からのオーラに於ける打撃であった。一気に麒麟の手足が4本、明治に食らわす。しかしそれをガードする。
「蒼天流奥義:五月雨乱舞」
元々文京が使っていた奥義の一つで、3名にブレて一気に攻撃を掛ける3連携コンボである。それを真似て行うわけである。
しかし・・・
「俺の番だな」
突如3名の金成が吹き飛ばされた。
「なんだ?」
スライディングするかのように膝をつく。
「アリストテレス」
掌を向けているだけであった。
「上等」
スキルマスター発動:グラヴィティ
明治に重力を掛ける。
「これは動けないな」
「そのままおしつぶしてやるよ」
「どうかな?」
右手をくいっと明治は構える。
「アリストテレス」
突然金成が引っ張られた。
「い!?」
金成は自身の重力におしつぶされそうになった。
「ぐっ・・・解!」
スキルマスターのグラヴィティを解いた。
「なんだ、奴のスキルは?」
「俺のスキル:アリストテレスは引力と斥力の両方を備える。引き寄せるも反発させるのも自由自在。俺には万有引力が備わっている」
「めちゃくちゃだな。そんな自然法則無視した力があるんかいな」
「一気にいくぞ」
明治が金成に向かって走っていく。
「ちくしょう」
スキルマスター発動:スイミング
一度地下に逃れようとする金成であったが、
「地面に潜っても無駄だ。アリストテレス!」
なんと地面に潜った金成を引力で引き寄せた。
「なんちゅうでたらめな力だよ!」
そのまま金成を右拳で殴りつけた。
「ぐほ」
金成が吹き飛ばされた。
「いてえな」
「おいおい金成、お前の力はこんなもんか?」
「別にそんな驚くほどのもんじゃあないっすよ」
「早く本気を出してこい」
「はいよ」
スキルマスター発動:ファイヤー
「炎の鎧ならあんたも触れることはできんでしょ?」
全身に炎を纏ながら攻める金成であった。
「ふん、甘いな」
鋼の棒を取り出した。
それで金成を殴りつけようとするが、それを金成は交わす。
「素手で触れなきゃいい」
「棒術師かなんかですかな?」
「まあそんなとこだな」
「さすが副会長、結構強いですねぇ」
「人を馬鹿にする暇があれば、少しは俺にダメージを与えてみな」
金成は副会長の実力を認めざるを得なかった。今まで校内では自分より優れた人は中々見かけないぐらいであったからだ。もしくは同期であれば西高の八王子が相手ぐらいであったので、金成にとって嬉しいライバル心が芽生える程の相手であった。
「なら遠慮なくいかさせていただきます」
スキルマスター発動:ライジングサンダー
全身雷を纏っている。
「ほう、西高の八王子に似たような技だな」
「てかまあ、そいつの技なんすけどね」
「なんだと?」
「俺はスキルマスター、相手の条件を叶えると同時に相手の能力を分けてもらうことができる。あんたの望みも叶えてやるからその便利そうな能力、俺にも分けてくれ」
「相手の能力を分けてもらうだと?そんなことが・・・しかしその能力はどうみても八王子の能力か」
「まあそうですね」
「しかしお前に俺のアリストテレスは扱えるとは到底思えないがな」
「まあものは試しですよ」
「よかろう、ならば俺に勝って見せよ。そしたらこの力をお前にも使えるようにしよう」
「承知した」
スキルマスター連携:アルティメットアイズ
「やっぱこうでなくっちゃね」
金成が動いた。
「速い!」
一瞬で明治の背後を取った。
「アリストテレス」
金成が斥力により弾き飛ばされた。
しかし空中でターンをして、そのまま再度明治に突っ込む。
何度も斥力によって金成は弾き飛ばされるが、何度も応対する。
「あの雷の速度はやはり尋常ではないな」
明治は右手を翳した。
「万有引力」
近くに生えていた木々を次々と集約していく。
「自然破壊者め・・・」
金成は呟く。
「言ってろ!アリストテレス」
今度は斥力で木々を吹き飛ばした。遠距離攻撃である。
金成はアルティメットアイズを解除した。
スキルマスター発動:テレポーテーション
四次元の空間を指で描き、飛んできた木々を異空間に飛ばした。
「なに?」
突然飛ばしたはずの木が消えたことに驚きを隠せない様子であった。
次の瞬間、明治に木々がリターンされた。
「なんだこれは」
明治がそれを交わす。しかしその隙を金成は逃さない。
「隙作っちゃダメでしょ」
今度は金成が渾身の一撃を明治の顔面目掛けて食らわすのであった。
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